穀倉院(読み)コクソウイン

デジタル大辞泉 「穀倉院」の意味・読み・例文・類語

こくそう‐いん〔コクサウヰン〕【穀倉院】

平安時代京都にあった朝廷穀物倉庫。畿内諸国調銭や、無主位田職田しきでん没官もっかん田などの米穀を納めておいて、年間の供応の食料、貧民救済、学問料に充てた。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「穀倉院」の意味・読み・例文・類語

こくそう‐いん コクサウヰン【穀倉院】

〘名〙 平安時代、政府倉庫一つ。畿内諸国からの調銭、諸国の無主の位田、職田(しきでん)、没官田などの収穫穀物を納めておく所。学生の学問料、貧民救済などにあてた。
日本後紀‐大同三年(808)九月乙未「冝且納穀倉院

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「穀倉院」の意味・わかりやすい解説

穀倉院 (こくそういん)

平安時代の令制外の官司。成立時期未詳。9世紀初め京の窮民のための非常用貯穀庫として設置された。のち律令財政が衰退し,令制官司が変質しはじめるとしだいに機能を拡大し,畿内調銭,無主位田,職田地子,没官田地子,年料租舂米(そしようまい)などを徴納し,貴族官人が没したさいの賻物(ふもつ)支給,学問料給付,宮廷行事のさいの饗饌弁備等を行った。このうち饗饌弁備は宇多天皇の前後の時代に成立した新儀,あるいは臨時の内廷行事に関するものが中心で,多くの場合,内蔵寮,後院とともに供饌を分担した。活動の最盛期は9世紀後半から11世紀にかけてで,院政時代に受領層が台頭するとしだいに形骸化した。職員は別当,預,蔵人で,うち別当は摂政,関白が補される公卿別当と,殿上弁,蔵人頭が補される四位別当の殿上別当と,五位別当の2種に分かれ,殿上別当は内廷と穀倉院の関係を指揮し,五位別当,預,蔵人は事務機構を形成した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android