職田(読み)シキデン

デジタル大辞泉 「職田」の意味・読み・例文・類語

しき‐でん【職田】

律令制で、中央の大納言以上および国司郡司大宰府官人などの地方官に官職に応じて支給された田。大宝令では在外諸司のものは公廨田くがいでんといったが、養老令ではすべて職田といった。原則として不輸租職分田しきぶんでん。しょくでん。→不輸租田

しょく‐でん【職田】

しきでん(職田)

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精選版 日本国語大辞典 「職田」の意味・読み・例文・類語

しき‐でん【職田】

  1. 〘 名詞 〙しきぶんでん(職分田)令義解(718)〕

しょく‐でん【職田】

  1. 〘 名詞 〙しきでん(職田)

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改訂新版 世界大百科事典 「職田」の意味・わかりやすい解説

職田 (しきでん)

8世紀初頭の大宝令制で,中央の太政大臣・左右大臣・大納言に,その官職に応じて40~20町の範囲で支給した田地,および郡司に支給した郡司職田のことをいう。養老令では,これら職田と在外諸司の大宰府官人および国司に与えられた公廨田(くがいでん)を含めて,職分田(しきぶんでん)と称する。実質的には職田と公廨田は区分がなく,職分田と同一と考えられる。職分田を職田とも称することがある。大納言以上の職田は不輸租田で(《延喜式》は輸租田),百姓の賃租によって耕作された。官職につけば支給されるが,解免の際はその官位に従って収公される。ただし,失誤なく理由があって解官される場合は,国司公廨田・郡司職田と異なって半減ですむ。郡司職田は四等官の職に応じて6町から2町支給され,大国の守でも2町6段という国司公廨田より支給面積が多い。しかし,令制下では職分田のうち唯一の輸租田であり,これらは大化前代の国造出身者としての郡司の特殊な性格からきていると思われる。後には,諸博士坊令等にも職田が与えられた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「職田」の意味・わかりやすい解説

職田
しきでん

律令制(りつりょうせい)的土地制度の地目の一つ。養老令(ようろうりょう)では職分田(しきぶんでん)。職田には、(1)大納言(だいなごん)以上に与えるもの、(2)大宰府(だざいふ)の官人(史生(ししょう)以上)および各国司(史生以上)に与えるもの(これは大宝令(たいほうりょう)では公廨田(くがいでん)といった)、(3)各郡司の「主帳(しゅちょう)」以上に与えるもの、の3種類があった。いずれも職務に対して支給されるものであり、その所有は在職期間に限られた。納税の有無についていえば、(1)(2)はともに不輸租田(ふゆそでん)(ただし(1)は貞観(じょうがん)主税式では輸租となっている)、(3)は輸租田であった。耕営の方法は、(1)は農民の賃租(土地の借耕)による経営、(2)は耕作のため国家から支給される正丁(せいてい)(事力(じりき))による徭役(ようえき)労働、(3)は賃租または自家労働力による経営であったと推定されている。

[村山光一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「職田」の意味・わかりやすい解説

職田
しょくでん
zhi-tian; chih-t`ien

中国史上,在任中の官吏給与された土地。上古の圭田の後身とされ,六朝時代,隋,唐と漸次整備された。唐制では職分田と呼び,京官,外官とも官品に応じ 12~2頃 (けい) と規定され,公田一種として収穫の約半分にあたる小作料を徴収し,職田被給者の所得とした。宋代にはなお存続したが,明,清ではほとんどなくなった。日本では8世紀の初め唐制を取入れて行われ,内官では大臣,大納言,諸道の博士,助教,直講,坊令,外官では大宰府の府掌以上,諸国の史生以上,博士,医師,郡司,軍毅などに与えられ,原則として不輸租田であった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「職田」の解説

職田
しきでん

大宝田令に規定された,特定の官職に在任するものに対して支給される田。養老田令では職分田(しきぶんでん)と改称されたが,実際には職田という名称が使用されていた。議政官である大納言以上に特権として与えられるほか,在外諸司の職田,郡司職田などもあった。のちに下級官人の給与を補完するために大学寮・陰陽寮・典薬寮の博士や坊令(ぼうれい)・按察使(あぜち)・郡毅(ぐんき)・牧監などにも支給された。

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旺文社日本史事典 三訂版 「職田」の解説

職田
しきでん

律令制で,内外の官人に支給された田地
職分田ともいう。原則として不輸租田。太政大臣は40町,左右大臣30町,大納言20町,大宰帥 (だざいのそつ) 10町,大宰府官人6町以下,国司2.6町以下,郡司6町以下。職を離れれば返還した。律令制の衰退とともに私有地化した。

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百科事典マイペディア 「職田」の意味・わかりやすい解説

職田【しきでん】

職分田

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普及版 字通 「職田」の読み・字形・画数・意味

【職田】しよくでん

職分田。

字通「職」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の職田の言及

【公廨田】より

…在外諸司の大宰府官人と国司の史生(ししよう)以上に支給された田地。ただし,これは公廨(官庁)ではなく,官職に対して支給されたので,実質的には職田(しきでん)と区別がなく,養老令ではともに職分田(しきぶんでん)と呼ばれた。公廨田は不輸租田である。…

※「職田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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