空空寂寂(読み)クウクウジャクジャク

デジタル大辞泉 「空空寂寂」の意味・読み・例文・類語

くうくう‐じゃくじゃく【空空寂寂】

《「空寂」のそれぞれの字を重ねて意味を強めた語》
[名]仏語宇宙有形無形の一切は、その実体本性が空であって、思惟分別を超えていること。
[ト・タル][文][形動タリ]ひっそりと静まりかえっているさま。また、心が何物にもとらわれないさま。
「―として天命を楽しんでいるかのように思われた」〈寅彦備忘録
[形動][文][ナリ]に同じ。
「無駄か。お前にゃ―だ」〈二葉亭訳・あひゞき

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精選版 日本国語大辞典 「空空寂寂」の意味・読み・例文・類語

くうくう‐じゃくじゃく【空空寂寂】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動タリ )
  2. 仏語。「空寂」の「くう」と「じゃく」をそれぞれ重ねて強めた語。
    1. [初出の実例]「常にあやまりて心念おさまり空々寂々としたる処を認めて」(出典:塩山仮名法語(1387頃)一)
  3. 前世における存在。本有。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. 何も存在せず、ただ静まりかえっているさま。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  5. 何物にもとらわれず無心であるさま。転じて、思慮分別のないさま。無関心であるさま。
    1. [初出の実例]「そんな志も無く、謂(いは)ゆる空々寂々とやらで居る人は」(出典古道大意(1813)上)
    2. 「父は万事空々寂々、苦楽共にお袋任せなれば」(出典:細君(1889)〈坪内逍遙〉三)

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四字熟語を知る辞典 「空空寂寂」の解説

空空寂寂

この世のものは有形無形にかかわらず、すべてくうであるということ。また、何物にもとらわれず無心である様子。転じて、無反応、無関心である様子。

[活用] ―たる・―として。

[使用例] 父は万事空々寂々、苦楽ともにお袋任せなれば、母の心労は比すべき物なし[坪内逍遙細君|1889]

[使用例] やや高尚なる理論に至りては、これを耳に聞きてもその意を解すること能わず、空々寂々あたかも無腸動物なるにも拘わらず[福沢諭吉*福翁百話|1897]

[解説] 仏教語「空寂」の「空」と「寂」をそれぞれ重ねて強めた語。

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