釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)を本尊とし、『妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)』を所依(しょえ)の経典とする在家仏教教団。1938年(昭和13)3月5日、ともに霊友会を脱会した庭野日敬(にっきょう)(初代会長)と長沼妙佼(みょうこう)(初代副会長)を創始者として、東京都杉並区で発足した。1942年、本部道場落成。当初、30人に満たない信者で出発した佼成会は、第二次世界大戦後教勢が著しく伸展し、1948年(昭和23)には1万8000世帯となり、翌1949年から1955年まで、新本部道場、霊園、病院、図書館、学園等施設の建設が相次いだ。1956年、『読売新聞』による佼成会批判(読売事件)が起こり、創立以来初めて信者数が33万世帯より30万世帯に減少した。1958年、久遠実成大恩教主釈迦牟尼世尊(くおんじつじょうだいおんきょうしゅしゃかむにせそん)が本尊であることを中外に宣言(真実顕現(けんげん))。1960年、これまでの導きの系統による布教組織を行政区画に従う組織に改変、10教区、104支部となる。1969年「明るい社会づくり運動」を提唱し、同年より準備活動に入った世界宗教者平和会議の推進役を担う。一方、現本部大聖堂(1964)、普門館(1970)、法輪閣(1978)が落成、立正佼成会平和開発基金、庭野平和財団が設立された。
1991年(平成3)、庭野日敬は会長位を長男庭野日鑛(にちこう)(1938― )に委譲(法燈継承)し、開祖となった。1994年、日鑛の長女光祥(1968― )が3代会長位継承者に指名された。1999年、日敬が死去し、翌2000年10月法輪閣庭園に一乗宝塔(納骨霊堂)が建立された。立正佼成会の信仰活動は、宗教の本義は一つとの教えを核とし、法を中心に磨き合う法座修行と世界平和への実践行にある。具体的な平和活動の展開としては、「ユニセフ募金運動」(1979~ )、「世界軍縮キャンペーン」の支援(1983~ )、「庭野平和賞」の創設(1983~ )、「アフリカへ毛布を送る運動」の支援(1984~ )、「アジア青年平和使節団」の派遣(1986~ )などがある。本部は東京都杉並区和田。教会数238、布教所数380、教師数8万0614、信者数308万9374(『宗教年鑑』平成26年版)。
[大島宏之]
『庭野日敬著『私の履歴書』(1982・日本経済新聞社)』▽『『庭野日敬法話選集』全8巻(1978~84・佼成出版社)』▽『教団史編纂委員会編『立正佼成会史』全7巻(1983~85・佼成出版社)』
東京都杉並区に本部を置く仏教日蓮系の教団。1938年庭野日敬(につきよう)を中心に創立。庭野はそれまで大日本霊友会の会員であったから,その先祖の成仏と人格の完成を願う信仰を受けつぎながら,《法華経》への帰依を鮮明にすることを主張して出発した。創立時の名は大日本立正交成会で,庭野は若かったために会長に村山日襄を推したが,実際の活動は庭野と長沼妙佼(1889-1957)が支えた。43年庭野が会長,長沼が副会長となり,45年会の名を立正交成会と改称(1960年以降立正佼成会)。法座を中心とする活発な布教活動によって会員は急増し,全国的な組織に発展,新宗教教団として創価学会につぐ大教団となった。さらに,60年に教団組織をそれまでの布教の人脈によるものから,地域ブロック制に切り替え,組織の近代化に成功したことが,その後の発展の力になった。その間,教義の面では日蓮主義を残しつつも,法華経帰依から根本仏教の尊重へと進み,宗教諸派の協力を提唱して,宗教者による平和運動の中心となっている。現在は,本部周辺に巨大な施設を持ち,佼成学園(男子・女子中高校,幼稚園),佼成図書館,佼成病院,佼成看護専門学校,佼成出版社などがあり,佼成霊園をはじめ各地に宗教施設を有し,全国主要都市に二百数十の教会がある。創立40周年を記念して設立された庭野平和財団は,国際的な宗教協力を通じて平和運動に貢献した人物に,庭野平和賞を贈っている。
執筆者:大隅 和雄
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(岩井洋 関西国際大学教授 / 2007年)
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法華系在家教団。1938年(昭和13)長沼妙佼(みょうこう)と庭野日敬(にわのにっきょう)が霊友会から分立した大日本立正交成会に始まる。日中戦争中,長沼の霊感による啓示と指導により発展したが,太平洋戦争中は活動が停滞。敗戦後,占領下で活発な布教活動を展開し,50年代には,東日本を基盤に霊友会につぐ新宗教となった。サークルの法座組織を通じた布教と個人の人格完成をめざす教義は,仏教の現代化を求める人心をつかんだ。60年に立正佼成会と改名。以後,国内的に「国民皆信仰,宗教協力」を社会的に実践し,国際的には宗教平和運動を展開。64年,東京杉並区の本部に大聖堂を建立。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
※「立正佼成会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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