立正佼成会(読み)リッショウコウセイカイ

デジタル大辞泉 「立正佼成会」の意味・読み・例文・類語

りっしょうこうせい‐かい〔リツシヤウカウセイクワイ〕【立正佼成会】

日蓮宗系の在家仏教団。昭和13年(1938)長沼妙佼庭野日敬が教祖となり、霊友会から分かれて創立。法座・サークル活動を通じて布教活動を行い、先祖供養を重視する。

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精選版 日本国語大辞典 「立正佼成会」の意味・読み・例文・類語

りっしょうこうせい‐かいリッシャウカウセイクヮイ【立正佼成会】

  1. 宗教法人。昭和一三年(一九三八)、庭野日敬(にわのにっきょう)・長沼妙佼(ながぬまみょうこう)中心となって、日蓮系宗派の大日本霊友会から独立し、大日本立正交成会を創立。同三五年から現称を名乗る。法華経を根本教典とし、日蓮の教えを奉じる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「立正佼成会」の意味・わかりやすい解説

立正佼成会
りっしょうこうせいかい

釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)を本尊とし、『妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)』を所依(しょえ)の経典とする在家仏教教団。1938年(昭和13)3月5日、ともに霊友会を脱会した庭野日敬(にっきょう)(初代会長)と長沼妙佼(みょうこう)(初代副会長)を創始者として、東京都杉並区で発足した。1942年、本部道場落成。当初、30人に満たない信者で出発した佼成会は、第二次世界大戦後教勢が著しく伸展し、1948年(昭和23)には1万8000世帯となり、翌1949年から1955年まで、新本部道場、霊園、病院、図書館、学園等施設の建設が相次いだ。1956年、『読売新聞』による佼成会批判(読売事件)が起こり、創立以来初めて信者数が33万世帯より30万世帯に減少した。1958年、久遠実成大恩教主釈迦牟尼世尊(くおんじつじょうだいおんきょうしゅしゃかむにせそん)が本尊であることを中外に宣言(真実顕現(けんげん))。1960年、これまでの導きの系統による布教組織を行政区画に従う組織に改変、10教区、104支部となる。1969年「明るい社会づくり運動」を提唱し、同年より準備活動に入った世界宗教者平和会議の推進役を担う。一方、現本部大聖堂(1964)、普門館(1970)、法輪閣(1978)が落成、立正佼成会平和開発基金、庭野平和財団が設立された。

 1991年(平成3)、庭野日敬は会長位を長男庭野日鑛(にちこう)(1938― )に委譲(法燈継承)し、開祖となった。1994年、日鑛の長女光祥(1968― )が3代会長位継承者に指名された。1999年、日敬が死去し、翌2000年10月法輪閣庭園に一乗宝塔(納骨霊堂)が建立された。立正佼成会の信仰活動は、宗教の本義は一つとの教えを核とし、法を中心に磨き合う法座修行と世界平和への実践行にある。具体的な平和活動の展開としては、「ユニセフ募金運動」(1979~ )、「世界軍縮キャンペーン」の支援(1983~ )、「庭野平和賞」の創設(1983~ )、「アフリカへ毛布を送る運動」の支援(1984~ )、「アジア青年平和使節団」の派遣(1986~ )などがある。本部は東京都杉並区和田。教会数238、布教所数380、教師数8万0614、信者数308万9374(『宗教年鑑』平成26年版)。

[大島宏之]

『庭野日敬著『私の履歴書』(1982・日本経済新聞社)』『『庭野日敬法話選集』全8巻(1978~84・佼成出版社)』『教団史編纂委員会編『立正佼成会史』全7巻(1983~85・佼成出版社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「立正佼成会」の意味・わかりやすい解説

立正佼成会 (りっしょうこうせいかい)

東京都杉並区に本部を置く仏教日蓮系の教団。1938年庭野日敬(につきよう)を中心に創立。庭野はそれまで大日本霊友会の会員であったから,その先祖の成仏と人格の完成を願う信仰を受けつぎながら,《法華経》への帰依を鮮明にすることを主張して出発した。創立時の名は大日本立正交成会で,庭野は若かったために会長に村山日襄を推したが,実際の活動は庭野と長沼妙佼(1889-1957)が支えた。43年庭野が会長,長沼が副会長となり,45年会の名を立正交成会と改称(1960年以降立正佼成会)。法座を中心とする活発な布教活動によって会員は急増し,全国的な組織に発展,新宗教教団として創価学会につぐ大教団となった。さらに,60年に教団組織をそれまでの布教の人脈によるものから,地域ブロック制に切り替え,組織の近代化に成功したことが,その後の発展の力になった。その間,教義の面では日蓮主義を残しつつも,法華経帰依から根本仏教の尊重へと進み,宗教諸派の協力を提唱して,宗教者による平和運動の中心となっている。現在は,本部周辺に巨大な施設を持ち,佼成学園(男子・女子中高校,幼稚園),佼成図書館,佼成病院,佼成看護専門学校,佼成出版社などがあり,佼成霊園をはじめ各地に宗教施設を有し,全国主要都市に二百数十の教会がある。創立40周年を記念して設立された庭野平和財団は,国際的な宗教協力を通じて平和運動に貢献した人物に,庭野平和賞を贈っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「立正佼成会」の意味・わかりやすい解説

立正佼成会
りっしょうこうせいかい

日蓮系統の新宗教。 1938年に霊友会から独立して,同会幹部の庭野日敬,長沼妙佼が大日本立正交成会を設立。 48年立正交成会,60年6月立正佼成会と改称。本尊は幾多の変遷を経て,58年,久遠実成大恩教主釈迦牟尼世尊であることを内外に宣言。経典は法華三部経,新釈法華三部経。その活動は,主として病,争いの解決に向けられ,第2次世界大戦前は目立たぬ地味な足どりを続けたが,戦後の社会環境のなかで急速に成長し,創価学会と並ぶ新宗教の双璧となった。長沼妙佼の生存中は,妙佼の霊能による生活指導を中心としていたが,妙佼の死後,教学の確立に力を注いできた。すなわち,仏教の基本とされる四諦 (どのように教えを実践するか,を説いた要綱) ,八正道 (教えをみずから実践するための徳目) ,十二因縁 (因果の理法) ,六波羅密 (教えを実践し,徳を他に及ぼしていくための修行) の法門にのっとり,信者は行・学の二道を通して釈尊の説かれた宇宙と人生の真理を実現することを信仰の要諦に,懺悔と精進を重ねて仏知見を開き,たゆみない菩薩道の実践をもって生活の基盤とする,という。事業活動は,佼成出版社,佼成高等看護学院,佼成学園など。会の統理指導者である会長職は世襲制で,1991年第2代の日鑛に継承された。公称信徒数約 627万人 (1996) 。

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百科事典マイペディア 「立正佼成会」の意味・わかりやすい解説

立正佼成会【りっしょうこうせいかい】

法華系統の新宗教教団。庭野日敬(にっきょう)(鹿蔵)は1935年霊友会に入り,翌年天理教信者だった長沼妙佼(みょうこう)(マサ)を説いて入信させ,1938年に独立して大日本立正交成会を設立,1946年に立正交成会,1959年6月に立正佼成会と改称。先祖供養を重んじ,〈下がる心〉を養い,献身と努力を説く。教学や教団が整備され,創価学会と対峙(たいじ)。大聖堂の建設や病院・学校の経営なども注目されている。本部は東京都杉並区和田。教団史編纂(へんさん)委員会による《立正佼成会史》がある。
→関連項目日蓮宗庭野日敬

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知恵蔵 「立正佼成会」の解説

立正佼成会

1938年、霊友会を脱会した庭野日敬(1906〜99)と長沼妙佼(1889〜1957)によって創始された新宗教教団。当初は大日本立正交成会と称したが、60年に現在の名称になる。会員数は公称約600万人で、創価学会に次ぐ規模の新宗教教団である。法華経三部経(「無量義経」「妙法蓮華経」「仏説観普賢菩薩行法経」)を経典とし、先祖供養を重要視する。リーダーを中心に生活や信仰の悩みを互いに語り合う法座と呼ばれる活動に特徴がある。幼稚園・中学・高校からなる佼成学園や佼成病院を持つと共に、財団法人庭野平和財団を設立し、平和運動や諸宗教間の交流や相互理解を目指す宗教協力にも力を入れている。91年には、日敬の長男・日鑛が会長になっている。

(岩井洋 関西国際大学教授 / 2007年)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「立正佼成会」の解説

立正佼成会
りっしょうこうせいかい

法華系在家教団。1938年(昭和13)長沼妙佼(みょうこう)と庭野日敬(にわのにっきょう)が霊友会から分立した大日本立正交成会に始まる。日中戦争中,長沼の霊感による啓示と指導により発展したが,太平洋戦争中は活動が停滞。敗戦後,占領下で活発な布教活動を展開し,50年代には,東日本を基盤に霊友会につぐ新宗教となった。サークルの法座組織を通じた布教と個人の人格完成をめざす教義は,仏教の現代化を求める人心をつかんだ。60年に立正佼成会と改名。以後,国内的に「国民皆信仰,宗教協力」を社会的に実践し,国際的には宗教平和運動を展開。64年,東京杉並区の本部に大聖堂を建立。

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世界大百科事典(旧版)内の立正佼成会の言及

【庭野日敬】より

立正佼成会会長。本名は鹿蔵。…

※「立正佼成会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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