デジタル大辞泉
「立涌」の意味・読み・例文・類語
たて‐わく【立×涌】
文様の一。相対する2本の曲線の中央がふくれ、両端がすぼまった形を縦に並べたもの。親王や関白の袍・指貫・袿などの織り文に用いる。中に描く文様によって、雲立涌・笹立涌・松立涌などの種類がある。たてわき。たちわき。
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たて‐わき【立涌】
- 〘 名詞 〙 ( 中央に雲を描いた雲立涌(くもたてわき)のあるところからの称 ) 文様の一種。中間をふくらませた曲線による縦筋文様(たてすじもんよう)。ふくらませた中に雲や藤を納めて、雲立涌・藤立涌などといい、袍(ほう)または奴袴の織文に用いる。たちわき。たてわく。たてわけ。
たて‐わく【立涌】
- 〘 名詞 〙 =たてわき(立涌)
- [初出の実例]「袍文〈略〉近衛流、納言の時に立涌の中に窩のよししるす」(出典:装束抄(1577頃))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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立涌
たてわく
「たちわき」「たちわく」ともいう。雲などがむくむくと「たちわく」さまに見立てて名づけられたという。向かい合った2本の波状曲線によって構成された幾何学模様。ちょうど菱(ひし)つなぎ模様の角をとり、曲線化すればこの模様に近づく。波状曲線によって囲まれた瓢(ひさご)形の空間に菊、雲、松、藤(ふじ)、浪(なみ)などのモチーフを入れて、菊立涌、雲立涌、松立涌、藤立涌、浪立涌などとよんでいる。中国唐代の唐草(からくさ)にこれと類似した形式があるが、おそらくこの種の形式の唐草が日本に伝来し、平安時代に入って和風化したものが立涌模様であろう。有職(ゆうそく)模様として多く用いられたところから、格式高い模様とされている。
[
村元雄]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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立涌【たてわく】
〈たちわき〉とも読む。有職(ゆうそく)文様の一つ。相対した曲線が中央でふくれ両端ですぼまった連続模様。菊,藤,雲,波などの模様をあしらうことが多い。主として衣料に応用され,特に平安以来装束の織模様として用いることが多かった。
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世界大百科事典(旧版)内の立涌の言及
【立涌文】より
…〈たちわく〉〈たちわき〉ともいう。東洋,西洋に古くからあるが,日本では間の空間に配した文様により雲立涌,梅立涌,波立涌,唐草立涌などと呼ぶ変化形がある。正倉院宝物には〈立涌花文暈繝風通(たてわくかもんうんげんふうつう)〉(奈良時代)がある。…
※「立涌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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