出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
高知県中東部,香美(かみ)市の三宝山(323m)中腹にある鍾乳洞。天然記念物,史跡に指定されている。石灰岩が地下水の溶解作用を受けて形成された洞内は総延長約4kmに及ぶ。東,中央,西の三つの主洞のほか多数の支洞に分かれ,約1kmが観光コースとして開発されている。鍾乳石,石筍,石柱が幻想的景観を展開し,雪花殿,万象殿,天降石などの名が付けられている。また大小20の地下滝のほか,随所に流礫棚や甌穴(おうけつ)がある。洞内に生息する動物の種類も多く,コウモリ,エビ類,ヤスデ類など101種の洞穴性動物(天)が確認されている。出口近くには弥生時代の洞穴遺跡があり,3室に分かれた住居跡からは土器などが発見されている。付近の夢野温泉,若宮温泉などを含む竜河洞県立自然公園の中核で,高知県の主要な観光地の一つ。洞の出口には竜河洞博物館などがある。三宝山の尾根伝いに野市(のいち)方面から竜河洞スカイライン(1997年無料開放)が通じる。
執筆者:正木 久仁
弥生時代後期の洞窟住居遺跡。1931年,竜河洞最奥部に住居跡が発見され,多くの獣骨,貝殻,木炭とともに壺,甕,高杯(たかつき)などの弥生土器が検出された。弥生時代には山頂部から出入りしていたようで,10m×10mの第1室から順次下って,7.5m×6.5mの第2室,15m×7.5mの第3室にそれぞれ居住した跡が認められる。特に第3室の壁の下部に鍾乳石におおわれた長頸壺(〈神の壺〉と呼ばれる)がみられるので有名である。
執筆者:坪井 清足
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