竦む(読み)スクム

デジタル大辞泉 「竦む」の意味・読み・例文・類語

すく・む【×竦む】

[動マ五(四)]
驚きや恐れ、極度の緊張などのためにからだがこわばって動かなくなる。「断崖絶壁の上に立って足が―・む」
からだが小さくなる。「恥ずかしさのあまり身が―・む」
態度がかたくなる。
「いと物遠く―・みたるさまには見え給はねど」〈椎本
紙・布などが、かたい感じになる。こわばる。
「唐の紙のいと―・みたるに」〈梅枝
[動マ下二]すくめる」の文語形
[類語]すぼまる縮むすぼむつぼむつぼまるしぼむ縮れる縮めるつづまる縮こまる縮み上がるすくめる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「竦む」の意味・読み・例文・類語

すく・む【竦】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. 恐れや緊張・疲労などでからだがこわばって動かなくなる。硬直して動かなくなる。すくまる。
      1. [初出の実例]「足手など、ただすくみにすくみて、たえいるやうにす」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
    2. 身をちぢめて小さくなる。
      1. [初出の実例]「ヒトノ マエデ sucunde(スクンデ) ヲル〈訳〉人々の前で何もできずに、縛られたように萎縮している」(出典日葡辞書(1603‐04))
    3. こわばる。ごわごわする。
      1. [初出の実例]「すくみたる衣どもおしやり、あつごえたるきかさねて」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一一月一七日)
    4. かたくなである。窮屈である。
      1. [初出の実例]「おとどの御おきてのあまりすくみて、名残なくくづをれ給ひぬるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
    5. 歯が抜けたりして口がゆがむ。すげむ。
      1. [初出の実例]「髪白して皺を畳て口喎(スクミ)腰屈り」(出典:私聚百因縁集(1257)三)
    6. 盛んなものがしだいに衰えてうまくゆかなくなる。先細りになる。
      1. [初出の実例]「騏麟も老いては駑馬におとる、と云ふやうに、業がすくんで来るから」(出典:志都の岩屋講本(1811)上)
    7. 先が細くなる。しだいにそげて小さくなる。
      1. [初出の実例]「面体、ほう高く、おとがい、すくみたり」(出典:評判記・満散利久佐(1656)小藤)
    8. 世阿彌の用いた能楽の語。「突く」とは反対の感じで「納む」とは似た感じらしいが詳細は不明。
      1. [初出の実例]「重衡の能に『鬼ぞ撞(つ)く成、恐ろしや』に『撞く成』と突いて云はば『をそろ』の『ろ』を納めて言ふべし。『撞く成』とすくみ云はば『をそ』の『そ』に心を入て突きて言ふべし」(出典:申楽談儀(1430)音曲心根)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙すくめる(竦)

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