笠女郎(読み)カサノイラツメ

精選版 日本国語大辞典 「笠女郎」の意味・読み・例文・類語

かさ‐の‐いらつめ【笠女郎】

  1. 万葉歌人。若い頃の大伴家持に贈った二九首が「万葉集」に載る。序詞にすぐれ、歌風女性らしく流麗。伝記、生没年とも未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「笠女郎」の意味・わかりやすい解説

笠女郎 (かさのいらつめ)

奈良時代の女流歌人。生没年不詳。《万葉集》第4期の歌人。出自経歴は不詳だが,笠金村あるいは沙弥満誓(さみまんせい)の縁故者ではないかと言われる。大伴家持をめぐる女性の一人。万葉集中に短歌29首を残すが,すべて家持への贈歌である。ある歌は繊細優美に,ある歌は激越奔放に,ある歌は機知を駆使して,多彩に相聞の情を歌っている。〈相思はぬ人を思ふは大寺餓鬼しりへに額(ぬか)つくごとし〉(《万葉集》巻四)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「笠女郎」の意味・わかりやすい解説

笠女郎
かさのいらつめ

生没年未詳。『万葉集』末期の歌人。笠金村(かなむら)の娘、笠御室(みむろ)の娘などの諸説があるが、閲歴も未詳。『万葉集』に29首の短歌が所収、女流歌人としては大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)に次ぐ歌数である。その作すべてが大伴家持(やかもち)との恋の贈答歌であり、恋の始まりから終わりまでの恋情の諸相が詠まれている。たとえば「わが宿の夕影草の白露の消ぬがにもとな思ほゆるかも」の、「夕影草」のような景物表現の独自性や、「皆人を寝よとの鐘は打つなれど君をし思へば寝(い)ねかてぬかも」「相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼(がき)の後(しりへ)に額(ぬか)つくごとし」の「鐘」「餓鬼」など、他者のほとんど詠まない事物を詠み込んで、恋の苦衷を斬新(ざんしん)な形として表現している点に特色がある。

鈴木日出男

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「笠女郎」の意味・わかりやすい解説

笠女郎
かさのいらつめ

奈良時代の女流歌人。『万葉集』によると,大伴家持 (やかもち) の青年時代,国守として越中国 (富山) へ下る頃まで交渉をもち,家持と離別したのちは故郷へ帰ったらしい。『万葉集』に収録された短歌 29首はすべて家持に贈った相聞 (そうもん) 歌。序詞,枕詞,比喩などを駆使し,技巧的にすぐれ,恋心を多面的,個性的にうたった。万葉女流歌人を代表する一人。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「笠女郎」の解説

笠女郎 かさの-いらつめ

?-? 奈良時代の歌人。
天平(てんぴょう)(729-749)の初めごろ,青年時代の大伴家持(おおともの-やかもち)と交渉があった女性のひとり。「万葉集」に家持におくった恋歌29首がおさめられている。

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