(読み)ケ

デジタル大辞泉 「笥」の意味・読み・例文・類語

け【×笥】

食物を盛る器。
「家にあれば―に盛るいひ草枕旅にしあればしひの葉に盛る」〈・一四二〉
物を入れる器。
碁石の―に入るる音」〈・二〇一〉

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精選版 日本国語大辞典 「笥」の意味・読み・例文・類語

け【笥】

  1. 〘 名詞 〙 物を入れる器。いれもの。容器。特に食器、食物を盛る器をいうことが多い。
    1. [初出の実例]「玉該(ケ)には 飯(いひ)さへ盛り」(出典日本書紀(720)武烈即位前・歌謡)
    2. 「碁盤いださせ給ひけるごいしけのふたに」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)慶賀・一三八三・詞書)

笥の補助注記

「和玉篇」や「書言字考節用集」には、濁音の例が見られる。

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普及版 字通 「笥」の読み・字形・画数・意味


11画

[字音]
[字訓] はこ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は司(し)。〔説文五上に「び衣のなり」とあり、竹やで編んだもの。〔礼記、曲礼上〕「笥」の〔注〕に「(い)るるなり。圓なるをと曰ひ、方なるを笥と曰ふ」とみえる。

[訓義]
1. はこ、飯食を盛れる方形のはこ。
2. 衣裳箱。

[古辞書の訓]
和名抄〕笥 介(け) 〔名義抄〕笥 ケ/笥 ヰケ 〔字鏡集〕笥 ハコ・ケ

[熟語]
笥篋・笥金・笥・笥中・笥・笥腹
[下接語]
衣笥笥・家笥・開笥・筐笥・篋笥・巾笥経笥・匣笥・綵笥・在笥・璽笥・書笥・小笥・蔵笥・笥・竹笥笥・笥・発笥・負笥・服笥・文笥・薬笥

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「笥」の意味・わかりやすい解説


食物を盛る器の古語箪笥(たんす)などの語があるように、容器一般をさす場合もあるが、主として食器をいう。「家にあれば笥に盛る飯(いい)を草枕(くさまくら)旅にしあれば椎(しい)の葉に盛る」(『万葉集』巻2)は、奈良時代の少なくとも貴族は、家庭で食器を使っていたことを示す。竹・へぎ板・竹串(たけぐし)に刺した木の葉などを用い、土器では盤(ばん)や杯(つき)を用いた。土器には木の葉を敷くこともあったらしい。室町時代ごろまでは米は甑(こしき)で蒸しており、現在のご飯に比べると水分が少なく、ぱさぱさしたものであった。

[井之口章次]

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【行李】より

…日本ではおそらく,最初は旅行の荷物の意味で行李の語を用いたのであろう。だが,日本の行李にあたるものは中国では笥(し)という。行李が普及するのは江戸時代になってからであるが,同様のものはすでに正倉院にのこり,葛や柳製でやや小型だが,製法は今日の行李とまったく同じである。…

※「笥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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