築く(読み)キズク

デジタル大辞泉 「築く」の意味・読み・例文・類語

き‐ず・く〔‐づく〕【築く】

[動カ五(四)]《「く」の意》
土石などを積み上げてつくる。「堤防を―・く」
体制地位財産などをしっかりとつくる。「政界に確固たる地位を―・く」「巨万の富を―・く」
[可能]きずける
[補説]本来は、土や石などを積み重ね、固めてつくる意の「く」で、この「杵」が後に「」と意識されてできた語か。
[類語]作る拵える仕立てる形作る作り出す作り上げる仕立て上げる誂える

つ・く【築く】

[動カ五(四)]《「突く」と同語源》土や石を積みあげてつきかためる。きずく。
公儀にても品川の海に台場を―・き」〈露伴・寝耳鉄砲〉
御諸みもろに―・くや玉垣き余し」〈・下・歌謡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「築く」の意味・読み・例文・類語

き‐ず・く‥づく【築・塑】

  1. 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
  2. 土石などを積み重ねて、固めてつくる。
    1. [初出の実例]「杵築の郷〈略〉天の下造らしし大神の宮を造り奉らむとして〈略〉宮処に参集ひて、杵築(きつき)たまひき。故(かれ)、寸付(きつき)といふ」(出典出雲風土記(733)出雲)
  3. 城やとりでなど堅固なものをつくる。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
    1. [初出の実例]「大江山のふもとにつち城をきつき」(出典:浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)五)
  4. ( 比喩的に ) 地位や体制などをしっかりと作る。「財を築く」「新家庭を築く」

築くの語誌

土石を突き固めて造成する意の「きづく(杵築)」と、城などをつくる意の「きつく(城築)」は、清濁やキの上代特殊仮名遣いにおける甲乙を異にし、本来は別語。後に区別があいまいになり、中世末頃まではおおむねキツク、その後はキヅクの語形をとって現代に至っている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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