篠原郷(読み)しのはらごう

日本歴史地名大系 「篠原郷」の解説

篠原郷
しのはらごう

和名抄」高山寺本・伊勢本・東急本は「之乃波良」と読む。同書名博本は「シノハラ」と訓を付す。当郷の比定について「阿府志」は「飯谷ヨリ生夷名谷ノ谷々村里」とし、飯谷いいたに(現徳島市)および勝浦川中流域にあたる勝浦盆地と背後の山間部の村々(現勝浦町)に比定する。「阿波志」は「今本荘有篠原里、本荘潟上昔属此」とし、また野口年長「阿波国郷名考」(大正一二年刊「勝浦郡志」所引)は「本庄村ニ篠原ト云地名アリ、此古ノ残也、属スル村ニ渋野前原西須加大松方上大谷ノ七カ村是也」とし、いずれも勝浦川下流域の旧本庄ほんじよう村篠原を当郷の遺称とみなしたうえで、「阿波志」は丈六じようろく(旧本庄村、現徳島市)とそれに隣接する方上かたのかみ(現同上)に、野口は現徳島市多家良たから地区の本庄・渋野しぶの、同勝占かつうら地区の大松おおまつ大谷おおたに・方上・西須賀にしずか、および現小松島市の前原まえばらというやや広い地域に比定する。


篠原郷
しのはらごう

[現在地名]竜王町篠原

篠原しのばら一帯に比定される中世の郷。篠原八幡しのはらはちまん郷・篠原村ともみえる。安元二年(一一七六)二月の八条院領目録(山科家古文書)の庁分御庄のなかに「甲斐国篠原」とある。至徳四年(一三八七)の「塩山抜隊和尚語録」に「甲州路篠原村居住玄菴禅妙」とみえる。「一蓮寺過去帳」によると、文明一一年(一四七九)一一月一一日に篠原の幸阿弥陀仏が逆修供養を行っている。


篠原郷
しのはらごう

「和名抄」高山寺本・東急本ともに「篠原」と記し、東急本は「志乃波良」と訓ずる。「土佐幽考」は「在坂折山之南」とし、「大日本地名辞書」は「今大篠村に大字篠原存す(中略)大曾の西、気良の東とす」と記す。


篠原郷
しのはらごう

「和名抄」は諸本ともに「之乃波良」(シノハラ)と訓ずる。「延喜式」兵部省に篠原駅が記されるように、交通の要衝であったために地名としては頻出する。「今昔物語集」巻二八に「美濃ノ国ノ方ヘ行ケル下衆男ノ、近江ノ国ノ篠原ト云フ所ヲ通ケル」とあり、「平家物語」巻一〇には源頼朝が伊豆国へ流罪になるときに「しの原の宿」まで送られたことが記され、東国と京都を結ぶ要地であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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