(読み)トク

デジタル大辞泉 「篤」の意味・読み・例文・類語

とく【篤】[漢字項目]

常用漢字] [音]トク(呉)(漢) [訓]あつい
まじめで行き届いている。手厚い。「篤学篤行篤実篤信篤農懇篤・仁篤」
病気が重い。「危篤
[名のり]あつ・あつし・しげ・すみ

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精選版 日本国語大辞典 「篤」の意味・読み・例文・類語

あつし【篤】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「あづし」か ) 病気がちである。病弱である。また、病気が重い。
    1. [初出の実例]「気力虚(うつけ)(アツシク)なりし時」(出典:天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
    2. 「いとあつしくなりゆき、もの心ぼそげに里がちなるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
    3. 「支離 アヅシ 病也」(出典:色葉字類抄(1177‐81))

篤の語誌

( 1 )第二音節の清濁については、引用の色葉例のほか、「観智院本名義抄」の「支離」「煦」の訓の「アツシ」の「ツ」に濁声点が見られ、当時濁音だったことが推測される。
( 2 )「あつかう(熱)」「あつしる」「あつゆ(篤)」などと同語源の語か。

篤の派生語

あつし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

あずあづし【篤】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙あつし(篤)〔形シク〕

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普及版 字通 「篤」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] トク
[字訓] あつい・くるしむ

[説文解字]

[字形] 会意
竹+馬。竹は竺(じく)の省文。〔爾雅、釈詁〕に篤・竺をならべ挙げて、「厚きなり」と訓している。竺は毒として棄てる意。篤とは重篤、馬が困弊して、用をなさぬ状態をいう。〔説文十上に「馬行きて頓(つまづ)き、遲きなり」とあり、また〔爾雅、釈詁〕に「固(かた)きなり」というのは堅篤の意。古くから篤厚の意に用い、〔書、洛誥〕「人の威烈を篤くす」、〔詩、大雅、公劉〕「篤いかな劉」、〔礼記、儒行〕「篤行してまず」などは、みなその義。これらの用義はおそらく毒と通用するもので、毒にも篤厚の意がある。毒は妻たる婦人が祭につかえるために、髪に多く飾りを加える形。その繁縟のさまを毒という。

[訓義]
1. あつい、てあつい、もっぱら、おそらく毒との通用の義。
2. 馬がくるしむ、つかれる、あやうい。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕篤 スチ・アツシ 〔立〕篤 オソシ・アツシ・マノウクツク・ムマノユク 〔字鏡集〕篤 カタシ・アツシ・トドム・マヌガル・ツトム・タノム・オソキウマ・ウマノウクツク・アツカル・アツシ

[語系]
篤tuk、毒dukは声義近く通用する。毒の古文字形に作り、部の〔説文〕五下に「厚きなり」とし、「(きやう)に從ひ、竹(ちく)聲。讀みて篤の(ごと)くす」とあり、と声義が同じ字であろう。竺tukも〔説文〕十三下に「厚きなり」と訓し、おそらくもと同字であろう。

[熟語]
篤痾・篤愛・篤学篤患・篤義篤恭篤謹・篤敬・篤劇篤眷・篤固篤顧・篤厚・篤好篤孝・篤行篤志篤疾・篤実篤恕・篤信・篤慎・篤仁・篤生・篤性・篤誠・篤速・篤道篤弼・篤病篤睦・篤密・篤・篤亮・篤類篤烈・篤論
[下接語]
恩篤・款篤・危篤・謹篤・恵篤・敬篤・厳篤・懇篤・重篤・純篤・醇篤・情篤・仁篤・崇篤・世篤・忠篤・敦篤・礼篤・老篤・論篤

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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