(読み)チマキ

デジタル大辞泉 「粽」の意味・読み・例文・類語

ち‐まき【×粽/×茅巻(き)】

《古くはチガヤの葉で巻いたところから》米や米粉・葛粉もちを笹やあしの葉で三角や細長い円錐状に包んで蒸したもの。5月5日の端午の節句に食べる習慣は、屈原汨羅べきらに入水したのを弔って、その姉が餅を投じたことから始まるという。 夏》「―結ふかた手にはさむ額髪/芭蕉
もち米ピータン・焼き豚・野菜などをいためて調味し、笹の葉に包んで蒸したもの。中国粽。
粽形ちまきがた」の略。

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普及版 字通 「粽」の読み・字形・画数・意味


15画

(異体字)粽
14画

[字音] ソウ
[字訓] ちまき

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(そう)。〔説文新附〕七上に「(あし)のもて米を裹(つつ)むなり」とあり、もち米を茅・などの葉に包んで蒸したもの。端午節句の日に作る。〔続斉諧記〕に「屈原、五日に汨羅(べきら)水に投ず。楚人(そひと)之れを哀しみ、此の日に至り、竹筒子を以て米を貯へ、水に投じて、以て之れを祭る」とその起源説話をしるしている。

[訓義]
1. ちまき。
2. 字はまた粽に作る。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕・粽 知万(ちまき)〔名義抄・粽 チマキ 〔字鏡〕・粽 チマキ

[熟語]

[下接語]
・裹・解・角・巧・作・雑・食・楚・縛・蜜


14画

(異体字)
15画

[字音] ソウ
[字訓] ちまき

[説文解字]

[字形] 形声
声符は宗(そう)。〔説文新附〕七上に字をに作り、「(あし)のもて米を裹(つつ)むなり」とあり、(そう)声。ちまきをいう。〔続斉諧記〕に、五月五日は屈原が汨羅(べきら)に投身した日であるので、楚人はこの日竹筒に米を入れ、水に投じて祭ったが、常に蛟竜に奪われるという神示(しんじ)があり、「楝(あふち)のを以て其の上を塞ぎ、綵絲を以て之れを纏(まと)ひ」、蛟竜の害を避けて献ずることになったという。

[訓義]
1. ちまき。
2. 字はまたに作る。

[熟語]
・粽子
[下接語]
解粽・香粽

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「粽」の意味・わかりやすい解説

粽 (ちまき)

もち米その他の材料をササマコモの葉に包んでイグサなどで結び,蒸したり煮たりして作る餅の一種。〈糉〉〈角黍〉とも書く。一般に5月5日の節供に食べたり贈ったりするが,この風習は5~6世紀ころの中国に始まる。初めは水神のささげ物とされたが,後に汨羅(べきら)のふちに投身した屈原(くつげん)の伝説と結びつき,彼の命日とされる5月5日にキビの餅をマコモで巻いて牛の角の形にしたものを湖や川に投ずるようになった。日本では平安時代から名が見られる。《延喜式》によると,もち米,ササゲなどを使っており,5月5日の節物とされたが,供御(くご)としては3月10日から5月30日の間進められていた。室町時代には〈飴粽(糖粽)(あめちまき)〉が街頭で売られていたが,これはもち米を蒸して餅につき,わらで包んでもう一度蒸すというもので,わらをとるとあめのように黄白色になっていたための名だという。江戸時代にはいろいろなちまきが作られていた。《本朝食鑑》(1697)には,あめちまきのほかに,こもちまきササちまき朝比奈ちまきの名が見られる。こもちまきは餅をマコモの葉で俵形に包んで煮るもの。ササちまきはうるちの粉を水でこね,細長くしてクマザサの葉で包んで蒸すもの。朝比奈ちまきはツバキのあく(灰汁)に浸しておいたもち米を蒸して餅にし,マコモやササの葉で包むもの。いずれも,砂糖やきな粉をつけて食べるとする。また,ササちまきは〈京師の珍菓〉で宮中でも最も賞味されるともしている。これがいわゆる道喜(どうき)ちまきで,内裏ちまき,御所ちまきの別称もある。朝比奈ちまきは,中国では6世紀の《斉民要術》,日本では《和名抄》が記載した製法をそのまま伝えたもので,いまでも〈あくまき〉の名で鹿児島地方で行われている。また,《古今名物御前菓子図式》(1761)には,葛(くず)ちまき,小倉ちまきなどの記載があり,これらは葛,ようかん,ういろうを材料とした水仙ちまき(葛ちまき),ようかんちまき,ういろうちまきとして現在でも端午の節句が近づくと菓子屋の店頭で見ることができる。

 ところで,日本語のちまきは飯や餅をチガヤなどの葉で巻き込んだための名であり,漢字を使うようになったとき,これに〈粽〉の字をあてたものである。文字とともに中国での風習も導入された結果,5月5日の節物として認識されることが多くなったわけだが,今でも全国的に見れば盆や正月の食物としているところも少なくない。
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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「粽」の解説

ちまき【粽】

①もち米や餅(もち)を笹やまこもの葉で細長い円錐(えんすい)形や三角形に包み、い草で縛って蒸したりゆでたりしたもの。5月5日の端午(たんご)の節句に供える。汨羅(べきら)という川に投身した屈原を弔うため、命日の5月5日に餅を投じたという中国の故事にちなむならわしとされる。◇古くは茅(ちがや)の葉を用いたことからこの名があるとされ、「茅巻き」とも書く。
②中華料理の一種。炒めたもち米と豚肉・竹の子・干ししいたけ・栗などの具をしょうゆなどで調味し、竹の皮で三角形に包んで蒸したもの。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【唐様】より

…唐様という呼称も,チャイニーズ・スタイルそのものとの誤解を避けるため,現代では禅宗様と呼ぶことが多くなった。禅宗様建築の特徴は,(1)軸部の柱高が高く,貫(ぬき)を多用する,(2)組物は詰組といい,柱上のみでなく柱の間にもおく,(3)屋根の傾斜は急で,軒反(のきぞり)が強い,(4)大虹梁(だいこうりよう)を利用して構造柱を少なくし大空間をつくる減柱造,(5)虹梁上に大瓶束(たいへいづか)を用いる小屋組,(6)礎石と柱の間に礎盤(そばん)を入れる,(7)柱の上下端を丸く細める(これを粽(ちまき)という),(8)丈の高い頭貫(かしらぬき)と厚い台輪をめぐらし先端を繰形のある木鼻とする,(9)海老(えび)虹梁という曲線状の虹梁を用いる,(10)肘木(ひじき)は笹繰(ささぐり)をもち先端をまるめる,(11)垂木(たるき)は扇垂木という放射線状の配置にする,(12)内陣に鏡天井を使う,(13)窓や出入口の花頭曲線,(14)桟唐戸(さんからど)という桟で組んだ扉を使う,などである。ただ,現在みられる禅宗様建築はすべて14世紀以降のもので,13世紀に伝来した初期の遺構はない。…

【柱】より

…円柱は飛鳥・奈良時代には下方が膨らんでおり,これをエンタシス(胴張り)という。鎌倉時代に伝来した禅宗様(唐様(からよう))や大仏様(天竺様)の建築では,粽(ちまき)といって上下を急に(禅宗様)あるいは,上方を緩やかに(大仏様)細める手法が用いられた。円柱は角材の角(かど)を落として八角にし,さらに十六角,三十二角と順次丸く仕上げていくが,室町時代以降は床下などに隠れる部分を八角のまま使用するようになる。…

【イグサ(藺草)】より

…江戸時代には各地で灯心用の栽培があった。現在もわずかに民間薬として使われ,また芯をとった皮はちまきを巻くのに使われている。【星川 清親】
[歴史]
 栽培の起源は古いが,書院造が始まる室町時代,とくに江戸時代以後栽培は普及,特産地として備後,備中が著名である。…

【端午】より

…竜舟は,船首に竜の彫刻や飾り物を施した舟で,競漕という娯楽としての要素のほかに,水死者の霊を慰め,同時に蛟竜水獣を鎮めて,水害を防ぎ,雨を乞い,五穀の豊穣を祈ったものである。粽(ちまき)を食べることの由来も屈原伝説に仮託されるが,同じく水神を祭り,豊穣を祈念したものであったと考えられる。 なお端午の起源・由来について明示する文献は,後漢以前にさかのぼるものはなく,古来さまざまな解釈がなされてきた。…

※「粽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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