六訂版 家庭医学大全科 「糖尿病と感染症」の解説
糖尿病と感染症
とうにょうびょうとかんせんしょう
Diabetes and infections
(代謝異常で起こる病気)
感染症にかかりやすい
感染症は、病原体すなわち細菌、ウイルスあるいはカビ(
一般にみられる肺炎、
糖尿病に特徴的な感染症
糖尿病では肺炎や尿路感染症、胆嚢炎などにかかりやすいことはすでに述べましたが、皮膚が化膿しやすく、おでき(
これらの一般的にもみられる感染症に加えて、
ムコール症というケカビ(カビの一種)の感染も、今日では糖尿病の患者さんにしかみられなくなった感染症です。血液の混じった鼻汁で始まり、鼻粘膜や
感染症による糖尿病の悪化
感染症はたとえかぜであっても血糖のコントロールを悪化させます。一般に感染症にかかると食欲が低下して摂食量が減りますが、そのような場合でも糖尿病の治療を中止してはいけません。逆に、インスリン療法の開始や、インスリン治療中の場合は、一般にインスリンの増量が必要になるので、医師の適切な指導が必要です。
治療の方法
前述したように、糖尿病では感染症は重症化するので、早期から適切な抗生剤による強力な治療が必要です。皮膚など局所の感染には、早くから積極的に切開排膿や病巣の摘出などの外科的処置も施さなければなりません。
病気に気づいたらどうする
早期診断、早期治療が重要なので、異常に気づいたらできるだけ早く、医師の診察を受けることが必要です。
川上 正舒
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報