木炭の粉末をデンプン,フノリ,ツノマタなどで球形に固め乾燥した加工炭燃料。たどんの起りは不明だが,中国では3世紀頃の史書に加工炭の記述がある。日本にも平安時代に動物(獣)形に固めた獣炭が使われたと史書にある。また鎌倉時代に禅文化が,木炭の新用途であるこたつ,たどん,あんかを伝えたようで,そのころよりたどんは庶民の燃料として使用され,いろいろのことわざや俳句などにも出てくる。たとえば〈たどんに目鼻〉というのは不美人で色黒で,目鼻だちがはっきりしない顔のたとえである。たどんは火つきがよく,臭気がなく,火力が柔らかで爆跳がなく,そのうえ火もちがよいという性質をもつ。一定温度を長時間保つための火鉢,こたつ,あんかなどでは灰に埋めて使用し,長時間のとろ火の煮物には木炭と併用するとよい。現在も,のこくず,樹皮炭を原料に機械化生産されている。
執筆者:杉浦 銀治
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