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紀氏 きうじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

紀氏
きうじ

古代の氏族。 (1) 武内宿禰の子木角宿禰 (きのつののすくね) が,母方の姓を継いで始祖となる。中央政界に活躍した古代の名族で,新羅征討将軍となった小弓宿禰,男麻呂宿禰らがいる。初めて東国国司となった麻利耆 拖臣,御史大夫となった大人臣が大和時代に活躍し,奈良時代末期には,光仁天皇の生母紀橡姫が出,平安時代には,紀長谷雄が中納言となり,文人としては貫之,友則が目立つ。 (2) 紀伊国造家。アメノミチネノミコトを祖とする。紀伊国造を世襲し,日前 (ひのくま) ,国懸 (くにかかす) の両社の祭祀を司った。平安時代に嗣子が絶え,武内宿禰の流れの行義が継ぎ,江戸時代末期に再び嗣子が絶えたので,飛鳥井三冬が継いだ。

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世界大百科事典 第2版の解説

きうじ【紀氏】

古代の氏族。(1)紀伊国造(きのくにのみやつこ)家。紀伊国名草郡に本拠をもつ紀直氏。神武朝に初祖天道根命が当国国造に任ぜられたのに始まるという。子孫その職を継ぎ,日前(ひのくま)・国懸(くにかかす)社を奉斎し,中世末まで強大な勢力をもった。直姓賜与の時期は明らかでないが,《紀伊国造系図》によると,神功紀に見える豊耳の子豊布流(10代)のとき,大直を賜ったとある。承和年中(834‐848)一族相ついで宿禰(すくね)姓を賜ったが,天元年中(978‐983)38代奉世に男子がなく,女婿紀朝臣文煥の子行義を嗣とし,以後朝臣(あそん)姓を称した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

紀氏
きうじ

(1)紀伊国造(きいのくにのみやつこ)家。『国造本紀(こくぞうほんぎ)』によれば神皇産霊尊(かんむすひのみこと)5世孫天道根命(あめのみちねのみこと)に始まる神別氏で、代々日前(ひのくま)・国懸(くにかかす)神社の神主と、名草郡領(なぐさぐんりょう)を世襲した。直(あたい)姓のち宿禰(すくね)姓。平安中期紀朝臣(きのあそん)行義が入婿して皇別氏となり、江戸末期飛鳥井三冬(あすかいみふゆ)が養子となって藤原氏となった。明治に至り男爵を授けられた。
(2)孝元(こうげん)天皇の孫(曽孫(そうそん)とも)武内宿禰(たけしうちのすくね)の子木角宿禰(きのつののすくね)の後と称する皇別氏で、武内の母木国造(きのくにのみやつこ)の女(むすめ)影媛(かげひめ)の縁故によって木(紀)氏を冒したもの。『古事記』などに葛城(かずらき)・平群(へぐり)・蘇我(そが)・巨勢(こせ)などの雄族と同族と伝える。古代屈指の豪族で、『日本書紀』に小弓(おゆみ)、その子大磐(おおいわ)、男麻呂(おまろ)らの朝鮮での活躍が伝えられ、本拠紀伊と瀬戸内沿岸各地の支族を掌握して海路を確保し、大和(やまと)政権の朝鮮経営に積極的に関与した。大化以後も大人(うし)・麻呂(まろ)・飯麻呂(いいまろ)・広純(ひろずみ)・古佐美(こさみ)・船守(ふなもり)など多くの高官を出したが、長谷雄(はせお)以後はしだいに衰え、のちにはもっぱら学者・文人を出すようになって政界から脱落した。[黛 弘道]

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世界大百科事典内の紀氏の言及

【鋳物師】より

…そして1165年(永万1),蔵人所小舎人惟宗兼宗が年預となり,河内国日置荘(狭山郷)の鋳物師を番頭とし,諸国散在の鋳物師に短冊をくばってこれを番に編成,天皇に灯炉などの課役を調進する蔵人所灯炉以下鉄器物供御人(くごにん)(通称,灯炉供御人)が成立する。つづいて1168年(仁安3),河内,和泉,伊賀の辺で活動する広階姓鋳物師を惣官とし,おそらく蔵人所小舎人紀氏を年預とした別の灯炉供御人が組織される。前者が右方作手,土鋳物師であり,後者は左方作手,廻船鋳物師といわれた。…

【紀・清両党】より

…下野国一宮二荒山(ふたらやま)神社(俗に宇都宮大明神)に奉仕した紀氏,清原氏の子孫。とくに鎌倉~南北朝期,同神社座主宇都宮氏に従属して活躍した武士団の一つ。…

【精進供御人】より

…精進供御人の中には,黄瓜(きうり)供御人,蓮根(れんこん)供御人,竹子(たけのこ)供御人,唐納豆(からなつとう)供御人,蒟蒻(こんにやく)供御人,唐粉(からこ)供御人,索麵(そうめん)供御人などが含まれたと思われ,その源流は,律令制下宮内省で蔬菜樹果のことをつかさどった園池司(園戸)や,菓餅庶食のことをつかさどった大膳職(膳部)にあったらしい。 供御人身分の編成に大きな働きのあったのは,代々御厨子所(みずしどころ)預を務めた地下官人紀氏で,12世紀後期,〈都鄙供御人〉の交易分をもって日次(ひなみ)供御を備進させることに成功し,1274年(文永11)には,〈三条以南魚鳥精進菓子已下交易輩〉を,すべて御厨子所供御人として沙汰すべし,との蔵人所牒を獲得している。ただ供御人の進止(支配)権をめぐっては,内蔵頭(くらのかみ)が御厨子所別当を兼ねる例となっていたことから,内蔵寮との間に係争が繰り返された。…

※「紀氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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