自衛隊の陸・海・空各幕僚長のほかに、最高位の自衛官としての統合幕僚会議議長を加えた会議体。その目的は自衛隊の総合的かつ有効な運営を図るためとされた。1954年(昭和29)1月、防衛庁(現在の防衛省)が設置され、保安隊が再編成されて陸・海・空自衛隊が発足、そしてその年の7月、統合幕僚会議(統幕会議)が設置された。
統幕会議の目的は前述のように自衛隊の総合的かつ有効な運営を図ることであるが、実態は陸・海・空各自衛隊がそれぞれの構想に基づき個別に作戦行動を実施し、必要に応じて統幕会議議長が統合調整を行うという「各自衛隊ごとの運用を基本」としている。したがって、各幕僚長がそれぞれの部隊の運用について防衛庁長官(現在の防衛大臣)を補佐し、部隊の運用に関する長官の指揮命令は各幕僚長を通じて実施することが基本とされた。統幕会議議長は陸・海・空の二つ以上の自衛隊が統合部隊を編成した場合にはそれを指揮することとされ、統幕会議議長は議長であり「会務を総理する」のであって、各幕僚長との間に上下の指揮関係はなく、同列であった。組織としての統幕会議には事務局が設置され、事務局長の下に第1(総務・人事)、第3(運用)、第4(兵站(へいたん))、第5(計画)の四つの幕僚室が設置された。第2幕僚室(情報)は1997年(平成9)に情報本部が統幕会議の下に新設されたことに伴い廃止された。なお統合幕僚学校が1961年(昭和36)に新設され、統幕会議に付置された。統幕会議議長の権限は78年に「日米防衛協力のための指針」が日米間で合意されて以降、匍匐(ほふく)前進するように徐々に拡大されたが、大きく見れば「微調整」の範囲にとどまっていた。そのため、2004年(平成16)に閣議決定である「防衛計画の大綱」で自衛隊の統合運用のあり方についての抜本的な改革が明記され、05年に防衛二法が改正されたことにより、06年3月に統合幕僚監部が新設されることとなった。これに伴い、統幕会議は廃止され、統幕会議議長は統合幕僚長となり、防衛大臣を、軍事専門家として一元的に補佐することになっている。
[松尾高志]
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…したがって,自衛隊離職者就職審査会等は,その任務が防衛行動と直接かかわるものではないため,防衛庁の組織には属しているが,自衛隊の組織からは除かれている。
[防衛庁本庁]
防衛庁本庁は,内部部局,陸・海・空自衛隊,統合幕僚会議および付属機関からなる。(1)内部部局 一般に内局とよばれる。…
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