自衛官は,自衛隊員のうち,自衛隊の各部隊を構成し,制服を着用することを義務づけられている隊員をいう。自衛隊員には,自衛官のほか,事務次官をはじめとする文官職員,予備自衛官,防衛大学校学生等がおり,これらはいずれも特別職の公務員として,その任免,服務等を国家公務員法でなく自衛隊法により規定されている。
自衛官は,志願制度により本人の自由意思に基づき任用されており,その採用は原則として試験によるが,試験以外の能力の実証に基づく選考によることもできる。自衛官の階級は将官(将,将補),佐官(一佐,二佐,三佐),尉官(一尉,二尉,三尉),准尉,曹(曹長,一曹,二曹,三曹)および士(士長,一士,二士,三士)からなり,尉官以上を幹部自衛官という。曹以上の自衛官が停年制を採用しているのに対し,士である自衛官は一般曹候補学生等を除き任期制をとっており,その任用期間は陸上自衛隊の一般隊員は2年,海上および航空自衛隊の隊員ならびに陸上自衛隊の特殊技術者(空挺等)は3年となっている。自衛官の昇任は,勤務実績もしくは功労に基づく選考または試験によるものとされ,本人の努力しだいで将を頂点とする上位階級に昇任する道が開かれている。
また,自衛隊の任務の特質上,何時でも職務に従事することができる態勢にあることを義務づけられており,さらに陸上において勤務する曹長以下の自衛官は,原則として営舎内に居住しなければならず,船舶に乗組みを命ぜられた海上自衛官は船舶内に居住しなければならないが,曹および士の自衛官で結婚等で営舎外居住が必要となった場合は,これが認められている。幹部自衛官は営舎外居住が原則である。自衛官はまた,職務遂行の義務,上官の命令に服従する義務,品位を保つ義務,秘密を守る義務,職務に専念する義務を守る必要があるほか,政治的行為の制限および団体の結成等の制限が課せられている。
執筆者:山崎 信之郎
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自衛隊法第3条に定められた自衛隊の隊務を行う者をいう。その定数は、陸上自衛官、海上自衛官、航空自衛官について、それぞれ防衛省設置法第6条で定められている。自衛官の階級には、将官、佐官、尉官、准尉、曹、士に大別される17階級がある。尉官以上を幹部自衛官という。曹以上は定年制で、階級ごとに政令で定められている。兵士にあたる士は2年または3年を任用期間とする任期制で、再任用も可能である。
自衛官は、防衛大学校、防衛医科大学校の学生および予備自衛官とともに、制服の着用が義務づけられている。ここから制服組ともいわれている。国際法上の軍隊の構成員にあたるのが自衛官である。これに対し自衛隊員とは、防衛省の職員で、大臣、副大臣などを除いたものをいい、自衛官だけでなく文官をも含む。
自衛官は志願制度により採用される。ただし退職については、隊務遂行に著しい支障を及ぼすときは制限を受ける。また指定場所に居住する義務を負う。さらに自衛隊員は、職務遂行の義務、上官の命令に服従する義務、秘密を守る義務を負い、これらの義務不履行に対しては、厳しい罰則が定められている。また政治的行為が制限され、団体の結成、争議行為なども禁じられている。
自衛官は防衛出動時などに、自衛隊法の定めるところにより、武器を使用することができる。また治安出動時には、警察官職務執行法に定める権限を行使することが認められている。
[藤井治夫]
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