家庭医学館 「続発性高血圧」の解説
ぞくはつせいこうけつあつにじせいこうけつあつ【続発性高血圧(二次性高血圧) Secondary Hypertension】
病気があって、その症状の1つとしておこる高血圧を続発性高血圧、または二次性高血圧といいます。
その頻度は低く、高血圧全体の5%程度です。
35歳以下の若い人に発症する若年性高血圧(じゃくねんせいこうけつあつ)(コラム「若年性高血圧」)は、この続発性高血圧のことが多く、詳細な検査が必要になることが多いものです。
続発性高血圧は、病気の部位などに応じて、腎性高血圧(じんせいこうけつあつ)、内分泌性高血圧(ないぶんぴつせいこうけつあつ)、心血管性高血圧(しんけっかんせいこうけつあつ)、神経性高血圧(しんけいせいこうけつあつ)、妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)(妊娠中毒症(にんしんちゅうどくしょう))などに分類されています。
病気が治れば、症状である高血圧も解消するのが原則ですが、病気が治っても高血圧だけが残ってしまうことがあります。
この場合は、高血圧の治療(高血圧(症)の「高血圧の治療」)が必要になります。
腎性高血圧(じんせいこうけつあつ)
腎臓(じんぞう)の病気が原因でおこった高血圧で、もっとも頻度が高く、続発性高血圧の4分の3は、この腎性高血圧です。
高血圧をおこすのは、急性腎炎、慢性腎炎、糖尿病性腎症、痛風腎(つうふうじん)、腎盂腎炎(じんうじんえん)、腎梗塞(じんこうそく)、腎動脈狭窄症(じんどうみゃくきょうさくしょう)、レニン産生腫瘍(さんせいしゅよう)、ウィルムス腫瘍、腎周囲膿瘍(じんしゅういのうよう)などがおもなものです。
これらの病気がおこると、腎臓の中を流れる血液の量が減少します。すると腎臓は、レニン・アンギオテンシン、アルドステロンという血圧を上昇させる物質の分泌量(ぶんぴつりょう)を増やします。血圧を上昇させ、腎臓へより多くの量の血液が流れるようにしむけるのです。
内分泌性高血圧(ないぶんぴつせいこうけつあつ)
ホルモン(内分泌(ないぶんぴつ))の分泌が異常になる病気でおこる高血圧で、腎性高血圧についで頻度が高くなっています。
バセドウ病などの甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)でおこることが多いのですが、原発性(げんぱつせい)アルドステロン症、褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)、クッシング症候群(しょうこうぐん)などの副腎(ふくじん)の病気が原因のこともあります。
心血管性高血圧(しんけっかんせいこうけつあつ)
心臓から出てすぐの太い血管(心血管(しんけっかん))の病気でおこってくる高血圧で、大動脈縮窄症(だいどうみゃくしゅくさくしょう)、大動脈炎症候群(だいどうみゃくえんしょうこうぐん)などが代表的な病気です。
神経性高血圧(しんけいせいこうけつあつ)
脳・神経の病気でおこる高血圧で、脳の中の圧が高くなると、高血圧がおこってきます。原因となる病気は、髄膜炎(ずいまくえん)や脳腫瘍(のうしゅよう)が代表的ですが、脳のけがが原因になることもあります。
妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)(妊娠中毒症(にんしんちゅうどくしょう))
妊娠にともなっておこる病気です。高血圧、むくみ(浮腫(ふしゅ))、たんぱく尿が3大症状ですが、高血圧だけしか現われないこともあります。