東京電力福島第1原発事故の発生時、経済産業省の旧原子力安全・保安院内に設置されていた事故対応拠点。その後、事故を教訓とした原子力規制委員会や原子力規制庁の発足に伴い、現在のERCに刷新された。原発や首相官邸などと結んだテレビ会議システムを常備するなど強化された。原発がある市町村で震度6弱以上の地震を観測したり、制御棒や非常用電源などの重要設備が故障したりした場合、原子力規制委員会の委員長らが集まり対応方針を決定する。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
原子力施設で事故や災害が起きた際の、情報収集や情報発信の拠点。緊急時には、原子力発電所や電力会社などからリアルタイムで情報収集を行い、首相官邸、中央省庁、電力会社、原発立地自治体などと連絡・調整して、国民向けの情報発信にあたる。英語のEmergency Response Centerの頭文字をとってERCともよばれる。2001年(平成13)の省庁再編で、東京・霞が関(かすみがせき)の原子力安全・保安院内に設置されたが、2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震による東京電力福島第一原子力発電所事故の対応への反省から同院が廃止され、2013年4月に東京・六本木の原子力規制庁内へ移管された。
広さは700平方メートル、参集可能人員は約200人。福島第一原発事故当時、狭いフロアに想定以上の人が集まったため混乱を招き、作業効率が落ちたとの反省から、3倍程に広げられた。また、当時は原発や電力会社と結ぶテレビ会議システムがなく、現地の状況を正確に把握できなかった。その結果、菅直人(かんなおと)内閣総理大臣自身が福島第一原発に出向くことになり、その対応のために事故現場が混乱したことが、事故そのものへの対応が後手に回る一因になったと指摘されている。このため、官邸、各地の原発、電力会社、自治体などを結ぶテレビ会議システムや専用電話回線を整備。とくにテレビ会議システムは、住民保護に特化した「オフサイト」用と、原発施設情報を集約する「オンサイト」用の2系統をもっている。また全国の原発の原子炉温度、水位などをリアルタイムで把握できる緊急時対策支援システム(ERSS:Emergency Response Support System)や放射性物質の拡散状況を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI:System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)も備えている。
[編集部]
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