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線量限度 せんりょうげんど dose limit

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

線量限度
せんりょうげんど
dose limit

放射線の被曝量のやむを得ない場合の上限値。従来の「許容線量」に代って世界的に使われるようになった。 ICRP (国際放射線防護委員会) の勧告に基づいて定められている。実効線量は5年間の平均が 20mSv/y (ただし 50mSv/y以内) ,一般人の場合では 1mSv/y。

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知恵蔵2015の解説

線量限度

個人が受ける放射線被曝(ひばく)量をできるだけ抑えるために設定された線量値。ただし、自然界からの放射線(平均で年間2.4mSv=ミリシーベルト)と医療目的の被曝は含まれない。学術組織である国際放射線防護委員会(ICRP)が、主として広島、長崎の原爆被爆者データを解析して勧告の形で発表。日本を始め多くの国が放射線障害防止のための法令や安全審査の指針類に取り込んでいる。放射線の人体への影響は放射線の種類、エネルギー、被曝した人体器官・組織によって変わってくるが、それらを統一的に把握するために工夫された実効線量(Sv=シーベルト)で線量限度を定めている。その値は、「これ以下なら影響ゼロ」という閾(しきい)値はないと仮定し、その影響を「合理的に達成できる限り制限する」との方針に基づき、一般人については年間1mSv、放射線作業従事者には任意の5年間の年平均で20mSv、ただしどの年も50mSvを超えないとしている。自然界から1人当たり年間平均2.4mSvの放射線を受けている。日本の原発では、周辺地域に与える影響が年間1mSvより十分低い値になるよう管理されている。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

せんりょう‐げんど〔センリヤウ‐〕【線量限度】

放射線被曝(ひばく)の線量の制限値。この値を少しでも越えると人体にとって危険であることを示す。国際放射線防護委員会(ICRP)による勧告値(1990年)は一般人に対し1年当たり1ミリシーベルト、放射線業務従事者に対し特定の5年間の平均が1年当たり20ミリシーベルトとなっている。

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百科事典マイペディアの解説

線量限度【せんりょうげんど】

人体が被曝(ひばく)しても,生涯のいずれの時期にも感知し得る程度の身体障害を起こさないと思われる放射線量。かつては〈最大許容被曝線量〉〈許容線量〉といわれた。国際放射線防護委員会(略称ICRP,1928年設立)が数年ごとに公表する勧告値(次第に低下しつつある)を基準とし,日本では科学技術庁告示により規制する。

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世界大百科事典 第2版の解説

せんりょうげんど【線量限度 dose limit】

放射線の有害作用から人体を防護するため国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告した放射線の被曝量の限度。以前,最大許容被曝線量(許容線量)といわれていたものである。世界中のほとんどの国で,放射線防護に関する法律をつくるにあたって,原則的にこの勧告を採用している。日本では放射線障害防止法をはじめとして各種法律に反映されている。 放射線は医療面のみならず現代社会の広い分野で有効に使用されているが,他方では人体に種々の影響をもたらす。

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大辞林 第三版の解説

せんりょうげんど【線量限度】

放射線被曝ひばくの危険を示す制限値。放射線業務従事者などの場合年間五〇ミリシーベルト,一般公衆の場合年間一ミリシーベルト。許容線量。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

線量限度
せんりょうげんど

放射線による人体への影響を考慮して決められた放射線量の限度をいう。国際放射線防護委員会(略称ICRP)から勧告として提供された基準値が、日本をはじめ各国において、放射線防護に関連する諸法令の線量基準に採用されている。ICRP勧告における線量限度の呼称は、「耐容線量」、「最大許容線量」、「容認線量」、そして「線量限度」と、新しく得られた知見を反映して変遷してきた。また、線量の単位も、最初はX線のみに対して導入されたレントゲンであったが、さまざまな種類の放射線を測定管理する必要からそれぞれの放射線の生物効果比(RBE)を盛り込んだレムになり、現在はシーベルトに変わった。[井澤庄治]

線量限度の推移

1934年、X線等を利用する医療従事者の防護のために「耐容線量」として、1日当り0.2レントゲンが勧告された。これは、現行のシーベルト単位で表せば、1年当り500ミリシーベルトにほぼ相当する。
 1950年代になって、原子力の利用が盛んになり、放射線防護上対象となる放射線の種類も、X線だけではなく、α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線や中性子線など、すべての電離放射線に拡大した。また、管理対象を放射線作業者に対する職業上の被曝(ひばく)だけではなく、一般公衆の被曝にも広げて限度量が勧告された。
 1956年の勧告では、「最大許容線量」として、職業上の被曝に関して週当りの線量と集積線量の限度が設定され、公衆の被曝防護のための限度として、その10分の1に相当する値が設定された。現行のシーベルト単位に換算すれば、作業者に対して1年に50ミリシーベルト、公衆に対して1年に5ミリシーベルトに相当する。作業者に対してのこの値は、1990年勧告で、「線量限度」として、5年間平均で1年当り20ミリシーベルトに低減された。広島・長崎の原爆被爆者の被害調査・研究等から得られた新しい放射線リスクの知見に基づくものである。一方、公衆に対する線量限度は、1985年のICRPパリ会議で出された声明(パリ声明)以来、年間1ミリシーベルトに低減された。これらの限度量は、2007年勧告にも引き継がれ、(1)職業被曝に関して5年間の平均で年間20ミリシーベルト、かつ、どの1年においても50ミリシーベルトを超えるべきでない、(2)公衆被曝に関して年間1ミリシーベルト(特別な事情においては、定められた5年間にわたる平均が年間1ミリシーベルト)の線量限度が示されている。
 また、ICRPは、2007年勧告で、通常の操業状態のように放射線防護が前もって計画できる「計画被曝状況」に対して勧告された「線量限度」のほかに、新しく「参考レベル」の概念を導入し基準値を示した。この参考レベルは、「緊急時被曝状況」(原子力事故や破壊行為を含む緊急事態に対応する必要がある状況)や「現存被曝状況」(事故後長期間にわたって放射性汚染が残存するとか住居内や作業場内に高濃度のラドンが存在する等の事例)に対して、当事国の政府が待避や移住、除染、飲食物の規制など、さまざまな対策をとる上での目安を示したものである。[井澤庄治]

線量限度の考え方

ICRPは、放射線被曝による有害な健康影響を2種類に分類し、確定的影響と確率的影響とよんでいる。確定的影響には、高い線量の被曝による細胞死や機能不全から生じる白内障や皮膚の損傷、不妊等がある。その特徴は、影響が起こる線量に閾値(しきいち)がある、つまり、あるレベルの線量までは、放射線による影響が現れないことである。初期の段階で定められた「耐容線量」は、安全な閾値があることを暗に示しており、被曝線量を閾値よりも低くすれば影響の発生を防止できるという考え方によっていた。
 しかし、その後、放射線影響の研究が進み、確定的影響のほかに確率的影響が生じることが明らかになった。確率的影響には、放射線被曝による細胞の突然変異等に起因して生じる癌(がん)や遺伝的影響等がある(遺伝的影響については、現在のところ生物実験のみでの実証)。この確率的影響に着目して限度を決定するにあたっては、ICRPが採用しているLNT(Linear Non-Threshold)のモデルでは、影響の発生確率は線量に比例して増加し閾値がないため、線量が低くてもリスクがゼロではないこととなり、また、癌の発生はそもそも確率的であるとする本質論からも、安全と危険を明確に区別することは困難になる。この難しさの中で容認点を定める方法として、たとえば、1977年勧告では、「リスク比較」の考え方を導入している。これは、放射線被曝に伴うリスク(危険度)のレベルを算定し、その結果を高い安全水準にあると認められている他の職業に伴うリスクと比較する方法で、限度量が容認できるか否かを判断するものである。また、1990年勧告や2007年勧告では、(1)放射線被曝を伴う行為は、それによる損害を利益が上回る場合でなければ正当化されないとする「正当化の原則」、(2)経済的、社会的要因を考慮に入れながら、被曝線量を合理的に達成し得る限り低く保つべきであるとする「防護の最適化の原則」、(3)個人の総線量は、委員会が特定する適切な限度を超えるべきではないとする「線量限度の適用の原則」の3原則を防護体系の基本とし、なかでもとくに最適化の原則の重視を明記している。[井澤庄治]

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