契約の締結が法律によって強制されることをいう。契約自由の原則(〈私的自治の原則〉の項参照)の例外であるが,生活必需の物資やサービスの提供を独占する者に対し,その提供と平等取扱いの義務を課する手段として法定されている。たとえば,道路運送法15条は,運送の申込みが運送約款によらないものであるときなど一定の場合を除き,運送の引受けを拒絶してはならないと規定し(鉄道営業法6条,ガス事業法16条,水道法15条,電気事業法18条も同旨),この公法上の義務に違反したときは罰則の適用がある(道路運送法130条3号,鉄道営業法25条等)。また,郵便,電信,電話については,その利用の差別的取扱いの禁止という形で規定されている(郵便法6条,公衆電気通信法3条)。医師についても,正当な事由がなければ診療を拒絶できないと定められている(医師法19条1項。薬剤師法21条,公証人法3条も同旨)。これらの者がこの公法上の義務に違反したときには,不法行為による損害賠償責任が認められたり,一方的な行為によって契約が成立したものとみなされたり,あるいは承諾の意思表示に代わるべき裁判(民法414条2項但書)をえて契約を成立せしめうるとされることもある。私法上の締約強制としては,借地・借家契約における建物・造作買取請求権(借地借家法13条,14条,33条)の行使によって売買契約が当然成立することなどが例としてあげられる。なお,法律上明文の規定がないときでも契約の締結強制が認められるかについては見解が分かれているが,これを肯定する見解も,独占的に生活必需の物資やサービスの提供をする者に対してであることを要求している。
執筆者:高橋 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…また運送契約は,公衆に対して多数締結される大量取引であるから,普通契約条款や営業規則による取引の方式がとられている(運送約款)。鉄道・軌道・自動車運送事業・旅客定期航路事業では,原則として運送の引受けを拒絶することができず,締約強制となっており,また運送賃等の運送条件については公示義務が課せられ,公的監督が加えられている。 運送契約において運送を引き受ける者は,運送人である。…
※「締約強制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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