懐中に入れて暖をとる器具。寒いときに使うほか、医療上では温罨法(おんあんぽう)の一方法として、神経痛や神経性腹痛などのように局所を温める必要がある場合に用いる。懐中に入れて暖をとるものとしては、古くは温石(おんじゃく)といって熱した石(滑石または、ろう石)を布に包んだもの、また、熱く煮たこんにゃくなどが用いられた。その後、懐炉灰や揮発油を用いる箱型懐炉があったが、現在はくふう改良が進められて簡便な使い捨て懐炉が主流になっている。局所に密着するような、薄い平面型で、振る、あるいは揉(も)むことによって発熱するもの、また局所に貼(は)ることによって発熱をおこすものなど、だれでも使いやすく、形状も大小さまざまなものが安価に求められる。医療や介護場面のみでなく、日常生活やレジャー場面でも手軽に多用されている。
[山根信子]
懐中に入れて暖をとる携帯用暖房具。医学上一種の熱罨法(ねつあんぽう)として腹痛,神経痛などにも利用される。古くは焼石や温石(おんじやく)などが使われていたが,元禄(1688-1704)初めころ保温力の強いイヌタデやナスの茎などの灰(懐炉灰)に点火し金属性容器に密閉して燃焼させる懐炉が発明された。近代になると懐炉灰は桐灰,麻殻灰,ゴマ殻灰,わら灰,ヨモギ灰などに助燃剤を加えて紙袋に詰めたものに改良された。これを糊料で練り固めた固形のものもある。また気化した揮発油を白金の触媒作用で徐々に酸化発熱させるものもある。一方昭和50年代に入ると火を使わず,鉄粉と食塩水,活性炭などを袋中でまぜ合わせて発生させた酸化熱を利用する,使い捨てのものも普及した。
執筆者:小泉 和子
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