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職場環境と健康 しょくばかんきょうとけんこう

家庭医学館の解説

しょくばかんきょうとけんこう【職場環境と健康】

●職業性疾患と作業関連疾患
 職場環境は、「労働基準法」「労働安全衛生法」「作業環境測定法」などによって、一定以上の基準を維持するように規定されています。
 それでも病気がおこることがあります。このうち、単一の原因でおこった病気で、しかも、その人が携わっていた作業環境要因が原因となった病気を職業性疾患(職業病)といい、労働者災害補償保険(労災保険)の補償対象となります。
 一方、職業病とは認定できないが、行なっていた作業が、病気の発症を早めたり、病勢を悪化させたりしたことがほぼまちがいないというケースもあります。
 これを作業関連疾患といい、高血圧、虚血性心疾患(狭心症(きょうしんしょう)、心筋梗塞(しんきんこうそく))、慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)(慢性気管支炎、肺気腫(はいきしゅ)など)、気管支ぜんそく、胃(い)・十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)(消化性潰瘍)、腰痛症候群、絞扼性(こうやくせい)神経障害、ストレス関連疾患などがその代表です。
 作業関連疾患は、病気と作業の関係を証明することがむずかしいケースがしばしばで、労災保険を申請すれば必ず適用になるわけではありません。
 過労死(かろうし)がそのいい例です。
 長時間労働、強いストレスなどの職場環境が誘因となっておこる突然死を過労死といい、虚血性心疾患や脳血管疾患(脳卒中(のうそっちゅう))が原因になることが多いのですが、死因と業務内容との関連について、労災保険側と遺族との見解が対立し、裁判にもち込まれるケースもあります。
●職場の新しい健康障害
 最近は、職場での新しい健康障害が問題になっています。
 換気の悪いビルのオフィス内でおこるシックビル症候群、職場になじめず、出社拒否におちいる職場不適応症(しょくばふてきおうしょう)、極度の疲労感のために朝も起きられない状態が続く慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)(コラム「慢性疲労症候群」)、夜勤と日勤をくり返すために不眠などの症状に悩まされる睡眠交替症候群(すいみんこうたいしょうこうぐん)などがその代表です。
シックビル症候群(しょうこうぐん)
【英】Sickbuilding Syndrome
 ビル内にあるオフィスに出勤すると、目・鼻・のどの乾燥感や痛み、あるいは頭痛、吐(は)き気(け)・嘔吐(おうと)、めまい、集中力の低下といった症状がみられ、ビルから離れるとほとんどの場合、症状は軽減します。
●原因
 たばこの煙に含まれる化学物質、断熱材・カーテン・塗料などから発生する気化したホルムアルデヒドなどのガス、殺虫剤・消毒薬・整髪料・香水などのスプレーに含まれる有機溶剤が室内に浮遊し、目、鼻、のどを刺激するためと考えられています。
 アメリカの調査によると、そのほとんどが、換気の悪いビルでおこっていたということです。ビル内の換気を十分行なうように注意しましょう。
 レジオネラ菌に汚染されているビルの空調の冷却水によっておこるレジオネラ肺炎(はいえん)(「細菌性市中肺炎」のレジオネラ肺炎)は、原因が特定できるのでビル関連疾患といい、シックビル症候群とは区別しています。

出典|小学館家庭医学館について | 情報

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