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過労死 かろうし death from overwork

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

過労死
かろうし
death from overwork

仕事上の過労やストレスが極度に達して起る死亡。突然死と呼ばれるケースもある。クモ膜下出血心筋梗塞など脳血管疾患,虚血性心臓疾患によることが多い。過労が引き金となっての死亡は必ずしも近年のことではないが,生理的限界をこえた日本の長時間・過密労働と密接に関連するものとして問題となり,1982年に社会医学的に「過労死」と命名され,88年弁護士による「過労死 110番全国ネット」という電話相談の開設以来,社会的用語として定着した。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

過労死

長時間労働や過密労働など、業務における過重な肉体的・心理的負荷を原因とする死。脳血管疾患、心臓疾患の他、過労による精神障害を原因とする「過労自死(自殺)」も含まれる。過労死は医学用語ではないが、「過労死等防止対策推進法」(2014年制定)で初めて法的に定義された。
日本人の働き過ぎは高度経済成長期から問題になっていたが、「過労死」が社会問題化したのは、バブル期に突入する1980年代後半である。88年に弁護士グループによる相談窓口「過労死110番」が大阪に開設され、全国に拡大。「突然死」と共に社会に定着し、その後 Karoshi として国際的にも使用されるようになった。
当初はほとんど労災認定されなかったが、90年代に入ると申請数・認定数とも徐々に増加し、91年に初めて企業に損害賠償を求める訴訟が起こると、その後行政訴訟も増えた。原告勝訴も相次いだため、消極的だった行政も対策に乗り出すようになった。99年、厚生労働省が労災の判断指針を見直し、うつ病などによる過労自殺も労災認定するように変更。更に2001年には、脳・心臓疾患の認定基準に長時間労働による疲労の蓄積も考慮に入れるように変更した。なお、過労死を引き起こす過重労働の評価基準(過労死ライン)は、発症前の1カ月間に100時間を超える時間外労働、または2~6カ月に及ぶ月80時間を超える時間外労働が目安になっている。
しかし、その後も長時間労働の現状は改善されず、08年に大手居酒屋チェーン「ワタミ」の入社2カ月の女性社員(当時26歳)が過労を理由に自殺した事件、15年末にも大手広告代理店「電通」の入社9カ月の女性社員(当時24歳)が同じく自殺した事件が起こり、社会に大きな衝撃を与えた(いずれも労災認定)。過労死は中高年男性が大半だったが、過酷な労働環境に置かれた若年層の「過労自殺」という新たな問題を社会に突きつけたのである。
14年に制定された「過労死等防止対策推進法」は、過労死のない社会の実現に向けて、国・地方公共団体に「過労死の実態調査・情報収集」「相談体制の整備」「民間団体の活動支援」「啓発月間(11月)の啓発活動」「年次報告書の提出」などを義務付けている。しかし、企業の責務や労働時間の上限といった具体的な規制はないため、新たな法整備や労働基準法改正による残業時間の上限設定などを求める声も出ている。

(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

かろう‐し〔クワラウ‐〕【過労死】

長時間労働・不規則な勤務・頻繁な出張など業務に起因する極度の過労やストレス、長期間にわたる疲労の蓄積などにより、脳疾患や心臓疾患を起こし死亡すること。→過労死認定基準

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百科事典マイペディアの解説

過労死【かろうし】

業務による過労,ストレスが原因で死亡すること。業務上の疾病・死亡かどうかについて労働基準監督署に労災申請し,労働災害と認められた場合初めて補償給付が受けられる。
→関連項目突然死

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人事労務用語辞典の解説

過労死

仕事で積み重なった過労や精神的なストレスが原因の一つとなって、疾病や自殺などで死亡することを言います。過度な労働を課す日本企業の特異な現象として、外国でもkaroushiと呼ばれています。労災認定の中から生まれた言葉で、臨床医学的な用語ではありません。
(2005/5/23掲載)

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世界大百科事典 第2版の解説

かろうし【過労死】

働き過ぎ(過労)による死亡。とくに1970年代から80年代にかけてのリストラ合理化の厳しい状況下での長時間労働,深夜勤務などの連続による過労から,脳血管疾患,心臓疾患(虚血性心疾患不整脈)などの持病が悪化して死亡したり,過度の精神緊張の連続からうつ病にかかり自殺したりする例が増えた。労働者の在職中の死亡の中で業務による過労死は,労災補償の対象になる。しかし,遺族の労災補償申請の大多数は,労働省の厳しい認定基準によって却下されていた。

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大辞林 第三版の解説

かろうし【過労死】

業務上などの過重な精神的・肉体的負担が原因となって急死すること。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

過労死
かろうし

長時間過密労働、深夜勤、海外出張、単身赴任等による極度の過労やストレスを原因とする死亡のこと。脳出血くも膜下出血急性心不全、心筋梗塞(こうそく)など、脳や心臓疾患による死亡が圧倒的に大きな比重を占めている。さらにうつ病や燃えつき症候群に陥り、自殺する者も多く、過労自殺として大きな社会問題になってきた。厚生労働省の発表によると、2007年度(平成19)の脳・心臓疾患の労働者災害補償保険(労災)申請件数は931件、精神障害は952件で、2003年度と比較するとそれぞれ約25%、約213%増加している。脳・心臓疾患は日常生活や遺伝等に起因する諸要因で徐々に悪化して発病するものであるが、このうち仕事がおもな要因で発症する場合があり、これらが過労死として労災認定されている。従来は発症前の1週間程度の業務量、業務内容等を中心に業務の過重性が評価されてきたが、2001年からは仕事による長期にわたる疲労の蓄積も考慮されるようになっている。ちなみに、2007年度の申請件数のうち、労災として認定されたのは脳・心臓疾患で392件、精神障害で268件となっている。さらに、精神障害のなかで自殺として申請されているのは164件で、このうち81件が労災として認定されている。年齢別では、脳・心臓疾患が50歳代、精神障害は30歳代の比率が高くなっている。
 過労死が社会問題として注目されるようになるのは1980年代のなかごろからであるが、当初は過労死の労災認定が困難なため、遺族が泣き寝入りをするケースがほとんどであった。この点を問題視した弁護士の有志によって、1988年(昭和63)に「過労死弁護団全国連絡会議」が結成され、「過労死110番」が全国の都道府県に設けられ、家族の相談に応じるようになった。過労死は欧米のビジネス社会にも存在しないわけではないが、日本のように広範な階層を巻き込み社会問題化するに至っていないため、現代においてもKAROUSHIという日本語が国際的に通用している。
 過労死や過労自殺の労災認定のためには、この死亡が業務に起因するものであることを証明しなければならないが、企業の協力は得られないため、過労死の労災認定は労働行政の厚い壁に阻まれている。[湯浅良雄]

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