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肝良性腫瘍 かんりょうせいしゅようBenign Liver Tumors

家庭医学館の解説

かんりょうせいしゅよう【肝良性腫瘍 Benign Liver Tumors】

[どんな病気か]
 画像診断の発達により発見が容易となった一連の疾患で、場合によりエコーで見ながら肝臓(かんぞう)に針を刺して、組織を採取(肝生検(かんせいけん))し、診断します。
[症状]
 多くは無症状です。大きいと腫瘤(しゅりゅう)を触れたり、腹部の痛みや張りを感じたり、熱が出たり、胃や十二指腸など隣り合わせた臓器を圧迫するために食が細くなったりします。
[原因]
 母胎(ぼたい)内で遭遇(そうぐう)したなんらかの異常に関連するものが多いのですが、性ホルモン、経口避妊薬(けいこうひにんやく)、寄生虫(きせいちゅう)の関与するものもあります。
[治療]
 がんに発展しそうなものや、症状のあるものが治療の対象です。それ以外は、数か月ごとに病気の変化をみていきます(経過観察)。
■肝血管腫(かんけっかんしゅ)
 集団検診で1~2.3%に見つかります。その大部分は海綿状血管腫(かいめんじょうけっかんしゅ)といわれる、スポンジ状の組織に血液が溜(た)まったようなものです。大きいものは女性に多く、画像診断が容易ですが、1cm以下のものは診断の難しいこともあります。肝生検は出血の危険があるためほとんど行なわれません。通常は経過観察でよいのですが、大きくて腫瘍内に血栓(けっせん)ができ、凝固因子(ぎょうこいんし)が消費されるために、出血傾向になったり、破裂(はれつ)してショック状態になる危険がある場合は、肝切除術(かんせつじょじゅつ)、肝動脈塞栓療法(かんどうみゃくそくせんりょうほう)、放射線照射(ほうしゃせんしょうしゃ)、エタノール注入療法(ちゅうにゅうりょうほう)(肝細胞がんの「治療」)などが行なわれます。
■肝細胞腺腫(かんさいぼうせんしゅ)
 20~40歳代の肝硬変(かんこうへん)をともなわない女性に多く、日本ではまれです。経口避妊薬(ピル)が原因とされます。糖尿病(とうにょうびょう)の人に多いとの報告もあります。
 画像診断でわかりにくいと、肝生検が行なわれます。将来がんになったり、破裂する可能性があり、肝切除が行なわれますが、肝硬変をともなわないときは経過観察ですます場合もあります。
■限局性結節性過形成(げんきょくせいけっせつせいかけいせい)
 女性に多く、性ホルモン(エストロゲン)との関係が考えられます。肝生検では診断が困難なことも多く、画像診断が参考となります。がんには進展しないと考えられるので、診断が確定したら、経過観察していけば十分です。
■腺腫様過形成(せんしゅようかけいせい)
 肝硬変が合併しており、がんに発展する可能性があり、肝生検で確かめます。治療はエタノール注入療法(肝細胞がんの「治療」)が行なわれ、その後も経過観察が必要です。
■肝嚢胞(かんのうほう)
 肝臓(かんぞう)内に液体の溜まった袋ができる病気で、寄生虫性肝嚢胞はおもに汚染(おせん)された生水を飲むことでおこります(表「肝嚢胞の種類と分類」)。
 単包虫症(たんほうちゅうしょう)は、破裂しないかぎり、予後は良好です。多包虫症(たほうちゅうしょう)は、感染後十数年で肝障害をおこし、やがて肝不全(かんふぜん)や門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)から死に至ります。
 ともに肝切除術が行なわれます。
 非寄生虫性肝嚢胞(ひきせいちゅうせいかんのうほう)の大部分は先天性です。50歳前後の女性に多く、まれに感染、出血、破裂をおこしたり、がんに発展することがあります。多くは経過観察で十分ですが、症状や破裂の危険があれば、管を皮膚を通して嚢胞内に入れ、そこからエタノールを注入して嚢胞壁の組織を破壊します。

出典|小学館家庭医学館について | 情報

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