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胸膜腫瘍 きょうまくしゅようTumor of the Pleura

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家庭医学館の解説

きょうまくしゅよう【胸膜腫瘍 Tumor of the Pleura】

[どんな病気か]
 肺を取り囲んでいる胸膜にできた腫瘍で、医療の現場では、肺がん乳がんなどから転移したがんによるものが、圧倒的に多くみられます。
 胸膜そのものの腫瘍としては中皮腫(ちゅうひしゅ)があります。中皮腫は、胸膜の内面をおおっている中皮からできる腫瘍で、悪性中皮腫と良性中皮腫に分類されています。
 悪性中皮腫は、石綿(いしわた)(アスベスト)を扱う人たちに多発することが知られています。石綿に関係する仕事を始めてから20年以上もたってから発病することが多く、持続する胸部の鈍い痛みと息切れがおもな症状です。
[検査と診断]
 胸部X線写真で、胸水(きょうすい)と、不整に厚みの増した胸膜がみられた場合は、悪性中皮腫を疑います。
 胸水の細胞や胸膜の細胞をとって顕微鏡で調べても、診断するのはむずかしいものです。
[治療]
 手術によって悪性の中皮腫を問題なくとりさることはむずかしいのが現状です。
 また、薬物による化学療法や、放射線を腫瘍にあてる放射線療法も、一般的に無効なことが多く、治療してもそれほどよくなることはありません。
 良性中皮腫は、胸部X線写真で、輪郭がなめらかで、はっきりした陰影を示し、多くの場合、胸水をともないません。
 手術で切除すれば、その後の経過は良好です。

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胸膜腫瘍
きょうまくしゅよう

胸膜に発生する腫瘍。胸膜から発生する原発性胸膜腫瘍と、他臓器から胸膜へ転移して形成された転移性胸膜腫瘍がある。原発性胸膜腫瘍のなかでは、びまん性(病変あるいはその状態が、一か所ではなく広範囲に広がっている様子)に広がる悪性胸膜中皮腫と限局性に発育する孤立性線維性腫瘍が代表的である。その他に滑膜肉腫、悪性線維性組織球腫ユーイング肉腫血管肉腫が胸膜に発生する。転移性胸膜腫瘍は他の臓器の悪性腫瘍が胸膜へ転移して腫瘤(しゅりゅう)を形成するものである。[鈴木 隆]

悪性胸膜中皮腫

悪性胸膜中皮腫はアスベスト(石綿)との関連が明らかにされており、全体の70~80%の症例にアスベストの曝露(ばくろ)が明らかである。鉱工業、造船業、建築業などの作業場での曝露以外にも、前記の作業場の近隣への居住、曝露した衣類の洗濯でも罹患(りかん)することが知られている。診断時の年齢は50~70歳で、男性は女性の3~5倍多い。潜伏期間が長く十数年から数十年といわれる。症状は胸痛、背部痛、咳、呼吸困難、体重減少などである。最初の診断には胸部X線写真、胸部CTが有用である。確定診断には胸水穿刺(せんし)、CTガイド下あるいはエコーガイド下の胸膜穿刺、胸腔鏡下に病巣の生検を行って標本を採取し、その病理学所見で診断する。
 病理学的な分類上、上皮型と肉腫型が代表的である。腫瘍の進展はCTやMRIの所見をもとにIMIG(International Mesothelioma Interest Group)分類で表される。治療は、可能であれば外科的切除(胸膜肺全摘術)の成績がよいが、手術が不可能な症例が多い。手術以外に化学療法、放射線治療が行われる。長期生存が期待される条件としては、上皮型、リンパ節転移がないこと、外科的切除断端が陰性なことである。[鈴木 隆]

孤立性線維性腫瘍

原因は不明であるがアスベストとの関連はない。症状は咳、胸痛、呼吸困難であるが、自覚症状がなく健康診断で発見されることもある。腫瘍からインスリンのような物質が産生され低血糖をきたすことがある。症例によっては悪性腫瘍の経過をとることがある。診断には胸部X線写真、胸部CT、MRIが有用である。確定診断は針生検(はりせいけん)で得た検体あるいは切除標本に対する病理学的検討で行う。治療は外科療法が行われ、切除可能であれば予後は良好である。[鈴木 隆]

転移性胸膜腫瘍

他臓器の悪性腫瘍が胸膜に転移したもの。原疾患の経過中に発見されることが多い。原疾患としては腎癌、乳癌などがある。転移性胸膜腫瘍では、外科的治療の適応はない。[鈴木 隆]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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