能登(町)(読み)のと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「能登(町)」の意味・わかりやすい解説

能登(町)
のと

石川県北部、鳳珠郡(ほうすぐん)にある町。2005年(平成17)鳳至(ふげし)郡能都町(のとまち)、柳田村(やなぎだむら)、珠洲(すず)郡内浦町(うちうらまち)が合併して成立。能登半島の北東部に位置し、北は輪島(わじま)市と珠洲市。北部と西部は丘陵地帯、南東部の富山湾に面した海岸は九十九(つくも)湾などのリアス海岸で知られ、海岸線一帯は能登半島国定公園に含まれる。町域の約8割が丘陵地で、市街地や集落は、海岸部や山間上町(かんまち)川、町野川、山田川、寺田川などの川沿いに形成されている。2005年までのと鉄道能登線が運行されていたが、現在町内を走る鉄道路線はない。国道249号が通じる。2003年には、町域と隣接する輪島市、穴水(あなみず)町にまたがり能登空港が開港し、羽田空港と約1時間で結ばれるようになった。

 町域南東部の海岸段丘上にある新保遺跡(しんぼいせき)は、縄文時代中期初頭の新保式土器の標式遺跡。内浦の入江に臨む真脇遺跡(まわきいせき)は、イルカ漁などを中心とする縄文時代の長期定住型集落で国指定史跡。出土品の多くは国の重要文化財の指定を受けている。近辺では古墳時代から土器製塩が盛んに行われていた。江戸時代には中世以来の小木湊(おぎみなと)や、内浦街道の宿、また鯨漁や北前船の寄港地である宇出津(うしつ)が栄えた。旧柳田村地区は第二次世界大戦前は県内一の製炭地として知られていた。農業は稲作をはじめ、葉タバコ、ブルーベリースイカなど、能登牛の生産も行われる。漁業は宇出津港などを拠点に、イカ釣漁業とブリなどの定置網漁業が盛ん。近年は海洋深層水の取水が行われている。奥能登に古くから伝わる民俗行事「能登のアマメハギ」「奥能登のあえのこと」は国指定重要無形民俗文化財。また「奥能登のあえのこと」は2009年に単独で、「能登のアマメハギ」は2018年に「来訪神:仮面・仮装の神々」を構成する行事の一つとして、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されている。宇出津の漣痕(れんこん)は県指定天然記念物。のと海洋ふれあいセンター、石川県水産総合センター、海洋漁業科学館、星の観察館「満天星」などがある。面積273.27平方キロメートル、人口1万5687(2020)。

[編集部]


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