家庭医学館 「脊柱後弯症」の解説
せきちゅうこうわんしょうえんぱいきはい【脊柱後弯症(円背/亀背) Kyphosis】
いろいろな原因によって、本来は腹部のほうに凸である脊柱(背骨(せぼね))が、後方に凸に変形してしまう(背中が丸(まる)くなる)病気の総称です。
姿勢の異常などによる機能的後弯は、日常的に注意すれば治せるもので問題はありません。しかし、つぎに述べる構築性後弯(病的な後弯)は、治療が必要になります。
■青年期後弯症(せいねんきこうわんしょう)(ショイエルマン病(びょう))
成長にともなって、複数の椎体(ついたい)がくさび状に変形し、脊柱、とくに胸椎部(きょうついぶ)が丸く変形するものです。成長が終了すると進行も止まります。
■先天性脊柱後弯症(せんてんせいせきちゅうこうわんしょう)
椎体の生まれつきの変形によるもので、椎体の癒合(ゆごう)や、くさび状の椎体がみられます。成長にともなって進行するものがあります。
■老人性後弯症(ろうじんせいこうわんしょう)(老人性円背(ろうじんせいえんぱい))
加齢が原因で多くの椎体間の椎間板(ついかんばん)が変性したり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で多くの椎体が押しつぶされることによっておこります(脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)(「脊椎圧迫骨折」))。
■脊椎(せきつい)カリエスによる後弯
小児期の脊椎カリエスの後遺症としてよくみられます。
■脊椎損傷後(せきついそんしょうご)の後弯
事故などで胸椎と腰椎(ようつい)の移行部の脊椎が高度に骨折し、さらに後方の靱帯(じんたい)の損傷をともなった場合におこるものです。進行する場合は、手術を行なう必要があります。
■その他
椎弓(ついきゅう)切除後や放射線治療の後に、後弯がおこることがあります。
また、強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)では、胸椎部に後弯がおこったまま椎体が癒着し、強直におちいるのが特徴です。
[検査と診断]
原因によって異なりますが、一般に痛みなどの症状をともなわないため、後弯が軽い場合は、周囲の人から指摘されたり、学校健診で指摘されるまで自覚しないことが多いものです。
X線検査で椎体の変形が見つかれば、比較的かんたんに診断できます。原因を知るために、さらに詳しい検査が行なわれることもあります。
また、進行するかどうかをみるために、定期的に検査を受ける必要があることもありますので、医師の指示にしたがってください。
●家庭でできるチェックポイント
姿勢が悪くて機能的後弯がおこっている子どもは、注意すれば治すことができます。しかし、自力で治せない変形が見つかった場合は、整形外科の専門医に相談しましょう。
[治療]
原因によって治療法が異なります。軽い場合は、体操療法や装具療法が行なわれますが、後弯がひどい場合には手術が必要になることもあります。
[日常生活の注意]
後弯症と診断されたら、医師の指示にしたがって、体操療法や装具療法を正しく根気よく行なうことがたいせつです。
とくに、先天性脊柱後弯症、青年期後弯症は進行するので、途中で治療をやめたり、転院したりすると、計画的な治療が受けられなくなります。