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脊髄空洞症 せきずいくうどうしょうsyringomyelia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

脊髄空洞症
せきずいくうどうしょう
syringomyelia

モーバン病ともいう。脊髄灰白質で細長い空洞化が起る疾患。下部頸髄,次いで上部胸髄に多い。温覚痛覚は鈍くなるが,深部感覚触覚は残っているという解離性感覚麻痺が特徴的である。初期には病変部に応じた分節性の麻痺症状を呈するが,進行すれば四肢性麻痺となる。

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家庭医学館の解説

せきずいくうどうしょう【脊髄空洞症 Syringomyelia】

[どんな病気か]
 脊髄の中心部(脊髄を鉛筆にたとえると、芯(しん)にあたる部分)に縦長の空洞ができ、ゆっくりと拡大していく病気です。
 空洞は、頸髄(けいずい)に発生することが多いのですが、延髄(えんずい)にもみられます。
 この病気の過半数は先天性で、この場合、ほかの先天性の形態異常(アーノルド・キアリ奇形など)をともなうことが多く、20~40歳で発症し、非常にゆっくり進行します。
 腫瘍(しゅよう)、脊髄損傷(せきずいそんしょう)、髄膜炎(ずいまくえん)の後遺症(こういしょう)である脊髄腔(せきずいくう)くも膜(まく)の癒着(ゆちゃく)などでおこる後天性(二次性)のものもあります。
[症状]
 空洞のできた位置や長さに応じて、いろいろな神経症状が現われてきます。
 脊髄の中心部に空洞ができ、その付近を通る温痛覚(おんつうかく)の神経線維が障害されるため、熱さ・冷たさ・痛さを感じなくなりますが、脊髄の後方を通る触覚(しょっかく)の神経線維は障害を免れるのが特徴です。これを解離性知覚障害(かいりせいちかくしょうがい)といい、熱さや痛さを感じなくなった皮膚の部分は、やけどやけがをくり返し、そこに瘢痕(はんこん)(ひきつれ)がよくみられます。
 温痛覚障害は、「肩かけ型」といわれる分布を示すことが少なくありません。
 運動神経障害もおこり、手指や腕、肩甲骨(けんこうこつ)周囲の筋力の低下と筋萎縮(きんいしゅく)がみられます。また、自律神経障害(じりつしんけいしょうがい)による皮膚の発汗異常、血行障害による皮膚の潰瘍(かいよう)や萎縮、爪(つめ)の萎縮なども目立つようになります。
[治療]
 根本的な治療法はありませんが、症例によっては、発病初期の外科的治療で症状の改善や進行の停止が期待できます。

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世界大百科事典 第2版の解説

せきずいくうどうしょう【脊髄空洞症 syringomyelia】

脊髄の中心部が空洞化する病気。この空洞化は脊髄実質の変性に基づく二次的なものであるとする説もあるが,一種の奇形であるとする説が一般的である。通常は脳室系との交通をしだいに失って虚脱していくはずの脊髄中心管が,大槽付近のくも膜下腔ブロックによる髄液の通過障害のため,脳室系と交通したままで残り,髄液の圧力が加わるために拡張して空洞を形成すると考えられている。 脊髄空洞症の病変は下部頸髄を中心に生ずるのが普通であるが,ときには延髄にも同様の空洞が生ずることがある(延髄空洞症syringobulbia)。

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世界大百科事典内の脊髄空洞症の言及

【知覚異常】より

…脊髄の障害では障害部以下の知覚異常が起こる。脊髄空洞症など脊髄の中心付近の障害では,反対側へ交差する温・痛覚の経路は障害されるが,交差しない深部知覚は保たれ,知覚の解離が生ずる。脊髄の半側が障害されると,病変の高さで同側の知覚が完全に消失し,それ以下同側の半身には深部知覚の低下と,反対側半身には温・痛覚の障害を生ずる(錐体路障害による運動麻痺を併せてブラウン・セカール症候群という)。…

※「脊髄空洞症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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