腰掛石(読み)コシカケイシ

デジタル大辞泉 「腰掛石」の意味・読み・例文・類語

こしかけ‐いし【腰掛(け)石】

腰を掛けるのに適した石。また、腰を掛けるために置いてある石。
著名な人が腰を掛けて休んだといういわれのある石。

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精選版 日本国語大辞典 「腰掛石」の意味・読み・例文・類語

こしかけ‐いし【腰掛石】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 腰掛とするのに適した石。腰掛用として据えてある石。
    1. [初出の実例]「大手の木戸口待懸る腰掛石(コシカケイシ)」(出典浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)一)
  3. 貴人または著名な人物が、その上に腰を掛け、休息したという伝説のある石。また、その伝説。

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改訂新版 世界大百科事典 「腰掛石」の意味・わかりやすい解説

腰掛石 (こしかけいし)

神や英雄,または歴史上著名な武将高僧などが腰掛けたと伝えられる石。休み岩,御座石(ございし)ともいい,その多くは神社の境内にある。石に腰掛けた人物はさまざまであるが,いずれも遠来の貴人という一致点がある。これらの石は神聖な霊域での祭壇に使用されたものと考えられ,常人がむやみに腰掛けたり近づいたりするのは禁ぜられていた。もともと神の影向(ようごう)の由来が長い時を経過するうちに忘れられ,それが歴史上の人物に置き換えられるという合理的解釈がなされたのであろう。つまり,神が休息されたという伝承から,やがて義経が腰掛けた石という説明がなされるに至ったのであろう。ほかに,西行や弘法大師,日蓮といった高僧や,和泉式部虎御前,浄瑠璃御前などの信仰文芸に深くかかわりのある人物が登場する。これは各宗派による教化唱導の痕跡を物語っており,諸国を遊行した下級宗教者の巡歴を暗示するものである。同じ系統腰掛松,笠掛松伝説がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腰掛石」の意味・わかりやすい解説

腰掛石
こしかけいし

神や天狗または歴史上著名な武将や高僧が腰かけたという伝説をもつ石。日本各地に広く分布する。腰かけたとされる人物は源義家源頼朝坂上田村麻呂,親鸞上人,日蓮上人,西行法師などさまざまであるが,すべて遠来の貴人ということに特徴があり,古い形のものは天狗あるいは神である場合が多い。このことは,腰掛石が古くは祭りのとき,訪れてくる神を迎えまつる祭壇に使われたことを物語るものと思われる。また,触れるとたたりをなすとされ,人が触れるのを忌んでいる石もあるが,これは,腰掛石が本来石神であったことと関係があると推測される。かつて石そのものが神であったのが,石神信仰の衰退によって信仰形態が変わり,腰掛石の伝説が生じるにいたったと考えられる。

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百科事典マイペディア 「腰掛石」の意味・わかりやすい解説

腰掛石【こしかけいし】

神や貴人が腰を掛けて休んだと伝える石。石を神の依代(よりしろ)として,そのまわりで祭を行ったなごりとする説がある。腰掛松,笠掛松の伝説も多いが,同じく神の降臨地もしくは樹木信仰の痕跡であろう。

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