破産債権者の共同の満足にあてるために独立の管理機構の下に統合される破産者の総財産。破産財団以外の破産者の財産を自由財産という。破産宣告があると債権者は個別的な権利行使を禁じられるが,債務者も財産の管理処分権を奪われ,管財人がこれを占有管理して総債権者への公平な弁済を図る。破産財団はその配当の原資となる。破産財団の母体は破産者の財産であるが,そのすべてではない。破産手続は総債権者への公平な弁済だけではなく,破産者に更生の機会を与えることをも制度目的としているからである。債務者のどの財産が破産財団を構成するかは法定されている(法定財団。破産法3,6,12条)。破産宣告時に破産者が有する差押可能ないっさいの財産で,日本国内にあるものがそれである。破産宣告後に取得した財産は自由財産となり,破産財団を構成しない(固定主義)。実際に破産手続が開始されるときに管財人の下に統合される財産(現有財団)は,第三者の財産が混入していたり,債務者の財産でも隠匿されたものがあったりして法定財団に一致しないことがある。これを整理して法定財団に近づけ,配当のための換価の対象(配当財団)を確定するのは主として管財人の任務である。具体的には第三者や債権者から取戻権,別除権,相殺権の行使をうけて財団は減少し,管財人からは否認権を行使して財団を充実・増殖させる。破産財団は債権者の権利の引当てとなるだけでなく,破産者や管財人の権利の目的ともなるので,これが権利の客体であるか否かという議論があるが,破産財団自体に法主体性(暗星的法人として)を認める見解が有力である。
→破産
執筆者:西澤 宗英
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…財団法人や相続財産法人は,前者に属する。後者に属するものとしては,抵当権の目的とするために設定される工場財団,鉄道財団等の各種の財団(〈財団抵当〉の項参照)や破産財団がある。債権担保を目的とする抵当権は,通常,個々の不動産ごとに設定され,質権も個々の動産や債権等について設定されるが,企業財産を一括して担保の目的とすることができれば便利である。…
…反面,理論も実務も,この新しい展開に必ずしも十分に対応しておらず,解釈論上,運用上さまざまな問題があらわれている。
[手続の概略]
破産手続は,通常は,大きく,破産手続を開始するか否かを決定する手続(宣告手続),配当にあてる財産を確定してその原資を得る手続(破産財団の管理換価手続),配当を受ける債権者を確定する手続(債権確定手続),手続を終結するための手続(配当手続)とに分けられる。(1)宣告手続 破産は,破産原因(支払不能・支払停止,債務超過。…
※「破産財団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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