自然増収(読み)シゼンゾウシュウ

デジタル大辞泉 「自然増収」の意味・読み・例文・類語

しぜん‐ぞうしゅう〔‐ゾウシウ〕【自然増収】

税率の引き上げや税の種類を増やすなど税法上の増税措置を行うことなしに、経済成長による国民所得消費増大などのために自然に租税印紙収入などが増加すること。

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精選版 日本国語大辞典 「自然増収」の意味・読み・例文・類語

しぜん‐ぞうしゅう‥ゾウシウ【自然増収】

  1. 〘 名詞 〙 税制改正が行なわれない場合、国民所得の増加や物価上昇などにより財政収入が増加すること。⇔自然減収。〔現代術語辞典(1931)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「自然増収」の意味・わかりやすい解説

自然増収 (しぜんぞうしゅう)

国や地方公共団体の税収は,税制変更が行われなくても,通常,名目的な賃金や企業利潤等の上昇により前年度に比べて増加する。これを自然増収呼び,制度改正に伴う税収の増加と区別している。これは実質的な経済成長だけでなくインフレーションによっても生じるわけであり,この面からは経済の自動的安定化(ビルトイン・スタビライザー)の効果があるとされている。自然増収による税収の増加率を名目国民総生産の増加率(名目経済成長率)で割ったものは,税収のGNP弾性値と呼ばれている。所得税の場合,累進税率により課税されているため名目賃金等の上昇により平均的な税率は上昇し,弾性値は一般に1より大きくなる。これに対し,間接税の場合は,数量重量を基準に課される従量税が含まれるため,一般に弾性値は1より小さい。税収全体では,高度成長期には1.4前後の高い値であったが,1973年秋の第1次石油危機以後の安定成長下では低い値を示すことが多くなっている。

 予算編成においては自然増収の予測が重要な役割を果たす。高度成長期には大幅な自然増収により,増大する財政需要にこたえながら年々減税を行ってきたが,第1次石油危機以降,安定成長に移行し,自然増収は大きく望めなくなり,大幅な国債依存の財政が継続している。また逆に,予算編成時に予期できなかった大きな不況により自然減収となって,歳入欠陥を生じることもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自然増収」の意味・わかりやすい解説

自然増収
しぜんぞうしゅう

政府は予算編成に際し税収の見積もりを行なうが,当該予算執行中の経済情勢が想定されるよりも好調であった場合などは,既存の税制に変更がないにもかかわらず,税収が見積もりよりも多く上げられることがある。こうした決算税収の対当初予算超過を指して普通,年度内自然増収と呼ぶ。

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