もとは《孟子》の中の語。人間が本来もっている判断能力をいう。王守仁(陽明)が良知心学を樹立してから,この良知が哲学概念としてひときわ重要になった。王陽明の場合,良知はもはや単なる知覚能力とか判断能力ではなく,人格的統一主体を意味する。王陽明がこの意味で,良知説を発見するのは49歳の時である。それ以前は人格的統一主体の意味をあらわす語としては心を用いて心即理と主張していた。これでは心のもつ背理可能性が危惧されるので良知とおきかえたのである。良知とは,万人が天から命令的に賦与された本来完全なる自己実現・自己救済能力をいう。もはや良知以外の何ものにも依存せずに真知実践できることになる。ここに伝統的な規範,外在する権威にとらわれることなく,万人が固有する良知を発揮実現する強固な実践哲学が樹立され,良知心学は天下を風靡したが,朱子学者などからは,良知は知覚にすぎず,主体とはなりえないと非難された。
→陽明学
執筆者:吉田 公平
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…中国の陽明学,すなわち王学の学派。王守仁(陽明)の良知心学は,いっさいの教学の枠をこえるから,師説の受容とて各自の良知の判断にゆだねられる。だから,もともと一定不可変の内容を共有するものとしての〈学派〉とはなじまない。…
…この挫折体験を契機として,王守仁は万人が本来もつ自己能力により自己救済する実践論として,心即理・知行合一説を提唱した。《朱子晩年定論》を著して朱子学と決別したのち,さらに致良知説を開発して強化した。良知とは万人が本来的に固有する完全なる自己実現・自己救済能力をいう。…
※「良知」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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