茶の湯で使われる菓子の総称。茶請(ちゃう)けの菓子のことで、現在の茶席では主(おも)菓子、干(ひ)菓子の2種を用意しておくのが普通となっている。室町時代の式正(しきしょう)料理である本膳(ほんぜん)料理の時代から、菓子は食事に付随したものであった。そこに出される菓子は、クルミ、クリ、カキ、キンカン、ザクロなどの果実および麩(ふ)や、シイタケ、ヤマイモ、昆布などであった。茶の湯成立期の菓子としてもっとも好まれていたのも果実である。ついで、砂糖を加えた羊かんや餅(もち)の類、タコやアワビなどを煮しめたもの、いもや麩などの類、そのほか「金紐」「金しべ」「亀足(きそく)」といわれる飾り菓子もある。これらのなかから7種か5種を取り合わせて出すこともあったが、亭主の趣向で2種か3種を出すのが主であった。しかし草庵(そうあん)茶が完成するにつれて、麩の焼、薄皮、あこや(小団子(だんご))などの生(なま)菓子が好まれるようになり、江戸時代に入ると、砂糖をまぶして型に入れたおこし米(ごめ)や落雁(らくがん)などが茶の湯でも用いられるようになり、現在の干菓子と同様のものがつくりだされている。
[筒井紘一]
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