デジタル大辞泉
「菊池容斎」の意味・読み・例文・類語
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きくち‐ようさい【菊池容斎】
- 幕末、明治初期の日本画家。名は武保。通称量平。江戸に生まれる。狩野派、土佐派などを学び、独自の画風を樹立。有職故実にくわしく、尊王の立場から歴史上の人物像を多く描き、「前賢故実」一〇巻を著わす。晩年、明治天皇から日本画士の称号を受けた。代表作は「堀河夜討図額」。天明八~明治一一年(一七八八‐一八七八)
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菊池容斎 (きくちようさい)
生没年:1788-1878(天明8-明治11)
江戸末期から明治初期の画家。江戸の人。名は武保,通称量平。与力を代々務める家に生まれたが,絵を好み,狩野派の高田円乗に師事。1825年(文政8)西丸御徒(おかち)の役を退いて絵画制作に専念した。幕末の復古思想に影響され,明君忠賢烈士500余人の画像を描き集めた《前賢故実》(1836)を著すなど,歴史故実を学んで歴史的主題を表現する分野を開拓し,小堀鞆音(ともと),松本楓湖らの近代歴史画の先駆となった。代表作に《堀河夜討図額》(1848),《阿房宮図》などがある。
執筆者:鈴木 廣之
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菊池容斎
きくちようさい
(1788―1878)
江戸末期~明治初期の画家。名は武保、俗称は量平。江戸の人。18歳のとき高田円乗の門に入って狩野(かのう)派を学び、のち土佐派を習い、さらに狩野探幽(たんゆう)、円山(まるやま)応挙の画風を慕う。後年は洋風の画法をも摂取、和漢洋の画風を広く修める。勤王精神も旺盛(おうせい)で、有職故実(ゆうそくこじつ)を研究して歴史画に新生面を開いた。全国を旅して古刹(こさつ)、旧家を歴訪し、建築、調度、武器、武具などを写し、『東大寺宝什図(ほうじゅうず)』『武器図説』などを著した。絵画の遺品に『堀河夜討図絵馬』(東京・浅草寺)、『阿房宮図』などの歴史画のほか、明君・義士・忠臣・烈婦500人の肖像画とその小伝『前賢故実(ぜんけんこじつ)』を木版本としている。
[村重 寧]
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菊池容斎
没年:明治11.6.16(1878)
生年:天明8.11.1(1788.11.28)
幕末・明治初期の日本画家。江戸下谷生まれ。本名河原武保,通称量平。家督を相続し幕府の御徒を勤める一方,高田円乗に入門し,流派にこだわらない教育を受ける。文政8(1825)年家督を譲り,以後画業に専念。諸派を学び,西洋絵画も研究して「堀河夜討図」(浅草寺蔵),「阿房宮図」(静嘉堂文庫美術館蔵),「西洋美人図」などを制作する。また有職故実を研究し,明治1(1868)年『前賢故実』全10巻を上梓,さらにこれを明治天皇に献上し,8年には「日本画士」の称号を受けた。明治日本画の歴史画に大きな影響を与え,弟子を通してのちの再興日本美術院を背負う俊秀を輩出した。
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
菊池容斎
きくちようさい
[生]天明8(1788).11.1. 江戸
[没]1878.6.16. 東京
江戸時代末期~明治初期の画家。名は武保,通称は量平。初め狩野派,のち有職故実ややまと絵を研究して歴史画に新画風を築いた。500人余の忠臣,義士,烈婦などの像を描いた『前賢故実』10巻はよく知られる。
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菊池容斎 きくち-ようさい
1788-1878 江戸後期-明治時代の日本画家。
天明8年11月1日生まれ。狩野(かのう)派をはじめ和・漢・洋の画法や有職故実をまなぶ。全国の古社寺,旧家をたずねて名書画,宝物などを研究し,天保(てんぽう)7年成果を「前賢故実」に集大成し,歴史画に新生面をひらいた。明治11年6月16日死去。91歳。江戸出身。本姓は河原。名は武保。通称は量平。作品に「堀河夜討図額」「阿房宮図」など。
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菊池 容斎 (きくち ようさい)
生年月日:1788年11月1日
江戸時代;明治時代の日本画家
1878年没
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の菊池容斎の言及
【復古大和絵派】より
…為恭が平安時代の障子絵を想像復元(大樹寺襖絵)するなど,古典に対する知的興味の先行も指摘できるが,《古今著聞集》などに取材した新しい主題をつくった積極面が評価される。明治期の菊池容斎(ようさい),小堀鞆音(ともと)(1864‐1931),吉川霊華(きつかわれいか)(1875‐1929),松岡映丘(えいきゆう)(1881‐1938)らの歴史画の先駆となった。[やまと絵]【鈴木 広之】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」