菜種梅雨(読み)ナタネヅユ

デジタル大辞泉 「菜種梅雨」の意味・読み・例文・類語

なたね‐づゆ【菜種梅雨】

菜の花の咲く3月下旬から4月にかけて、連日降りつづく寒々とした小雨 春》「―念仏ひざつめあはせ/信子
[類語]梅雨つゆ梅雨ばいう空梅雨五月雨走り梅雨戻り梅雨返り梅雨

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精選版 日本国語大辞典 「菜種梅雨」の意味・読み・例文・類語

なたね‐づゆ【菜種梅雨】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 三月下旬から四月にかけて、菜の花が咲く頃に降る暖かい長雨。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「ぬれがほを鏡に妻や菜種梅雨」(出典:黴(1937)〈森川暁水〉昭和九年)
  3. 陰暦三、四月頃に吹く東南大風。〔物類称呼(1775)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「菜種梅雨」の意味・わかりやすい解説

菜種梅雨
なたねづゆ

3月中旬から 4月上旬にかけて, 菜の花(→アブラナ)が咲く頃に降る長雨。「春の長雨」ともいう。高気圧がはり出したり移動性高気圧が北に偏って日本列島を通ったりするために,関東地方や太平洋沿岸部には冷たく湿った北東風が吹き,前線が停滞しやすくなる。そこへ小低気圧が次々と発生,東進するため,すっきりしない天気が続くことなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「菜種梅雨」の意味・わかりやすい解説

菜種梅雨
なたねづゆ

3、4月ころ現れる春の長雨。花を催す雨、つまり催花雨が菜花雨になったともいわれる。梅雨に似た気圧配置で、気温が低くて雲が多い日が何日も続いたりするが、現れない年もある。

[篠原武次]

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とっさの日本語便利帳 「菜種梅雨」の解説

菜種梅雨

三月中旬から四月にかけて菜の花が咲く頃に現れる長雨。春霖(しゅんりん)。霖とは三日以上降り続く雨のこと。この頃の雨が春雨

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世界大百科事典(旧版)内の菜種梅雨の言及

【ナタネ(菜種)】より

…花後に先端がくちばし状になった長い莢果(きようか)ができ梅雨の中休みのころに熟する。種子が黄褐色に熟するころに降り続く雨のことを菜種梅雨という。莢(さや)が裂けて種子がこぼれないうちに刈り取り,たたいて種子を収穫する。…

【日本列島】より

…このような気圧配置を北高型といい,本州の南岸沖に前線が停滞することがよくある。北高型による長雨は,春は春霖または菜種梅雨といい,秋は秋霖または秋の長雨といい,南岸沖の前線を秋雨前線と呼ぶ。秋雨前線は,夏に大陸方面に北上していた梅雨前線が秋になって大陸が冷え込んできたため南下を始め,本州付近に停滞したものという解釈もできる。…

【梅雨】より

…このじょう乱は活発な対流雲の塊であるが,この通過により各地に大雨が降る。【内田 英治】
【梅雨の天気用語】
菜種梅雨(なたねづゆ)春のナタネ(アブラナ)の花の咲く頃(3月下旬~4月上旬)に一時的に数日間降り続く雨。 卯の花くたし5月ころの梅雨型の長雨。…

※「菜種梅雨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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