念仏講(読み)ネンブツコウ

デジタル大辞泉 「念仏講」の意味・読み・例文・類語

ねんぶつ‐こう【念仏講】

仏教で、念仏を修行する信者の集まり。念仏を行う講中。のち、頼母子講たのもしこうと同様なものに変わった。
輪姦りんかんすること。
無住のあき寺、お娘を正坐に取りまいて、―をはじめるつもり」〈人・梅児誉美・初〉

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精選版 日本国語大辞典 「念仏講」の意味・読み・例文・類語

ねんぶつ‐こう【念仏講】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 念仏を行なう講。念仏を信ずる人達が当番の家に集まって念仏を行なうこと。後に、その講員が毎月掛金をして、それを講員中の死亡者に贈る弔慰料や、会食の費用に当てるなどする頼母子講(たのもしこう)に変わった。
    1. [初出の実例]「はなのさかりに申いればや 千本の念仏かうに風呂たきて〈重明〉」(出典:俳諧・新続犬筑波集(1660)一)
  3. ( で、鉦(かね)を打つ人を中心に円形にすわる、または大数珠を回すところから ) 大勢の男が一人の女を入れかわり立ちかわり犯すこと。輪姦
    1. [初出の実例]「是へよびて歌うたはせ、小遣銭少しくれて、念仏講(ネンブツカウ)にせよと」(出典浮世草子御前義経記(1700)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「念仏講」の意味・わかりやすい解説

念仏講 (ねんぶつこう)

念仏を唱え,極楽往生を期する同信者の集団。中国では廬山において慧遠(えおん)が結成した白蓮社(念仏講)があり,日本では平安中期以後,迎講往生講阿弥陀講などがあった。念仏講の名称は,中世以後の地方の文書や石碑銘文にしばしばみられる。これらの念仏講は宗教的講集団として,中世以前の浄土教的講会と脈絡をもつと考えられる。とくに念仏講は葬送死者の追善に関与することが多いが,これは源信の二十五三昧会(《二十五三昧式》)と系譜的に無関係ではなかろう。今も念仏講が弥陀講とも称され,葬式組となっている例が多い。浄土系の寺院には檀信徒で構成される念仏講があり,定期的に会合をもっている。住職の法話を聞き,おつとめをして念仏信仰を深め,また講員が死亡したときには通夜,葬儀に参加して,念仏や御詠歌を唱えたりする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「念仏講」の意味・わかりやすい解説

念仏講
ねんぶつこう

念仏を唱えることを契機として結成されている講。普段は毎月、日を決めて寺や堂に集まりその本尊や路傍の石仏などへ念仏を唱えて村内安全や五穀豊饒(ほうじょう)などを祈願するが、村落内に死者が出た場合には、その弔いのための念仏を唱える集団ともなる。高齢の女性が中心となっている場合が多いが、男性が入っている例も少なくない。中高年の女性が入って盛んな活動をみせている例もある。念仏の練習であると同時に、茶菓子を持ち寄り談笑するなど親睦の意味合いも強い。多くは組単位で構成されているが、静岡県裾野市(すそのし)の中駿(ちゅうしゅん)大念仏のように広範囲に複数の念仏講が連携している例もある。

[新谷尚紀]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「念仏講」の解説

念仏講
ねんぶつこう

念仏を行う信者の集会。時代や講を構成する主体により目的や実態が違う。10世紀末に始まる比叡山横川(よかわ)の首楞厳院(しゅりょうごんいん)二十五三昧会(にじゅうござんまいえ)に起源をもつとされる。阿弥陀の念仏による往生や結衆(けっしゅ)の葬送に関するきまりをもち,これら根本結衆のほか外縁に結縁衆を含んでいた。やがて民間にも普及し,葬儀や祭祀にかかわる講として展開し,講員同士の相互扶助の性格もあわせもつようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の念仏講の言及

【大人∥乙名】より

…家を単位に,家格や家産に秩序の基準を置く東日本とは対照的といえる。なお,大人・年寄に類似したものとして,念仏講とか弥陀講と呼ばれる,老人たちの加入する年寄講が全国的に分布するが,これは村落内の権威として存在することは少なく,引退した老人たちの組織であり,大人・年寄とは性格が異なるものである。年齢階梯制【福田 アジオ】。…

※「念仏講」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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