デジタル大辞泉 「蔑」の意味・読み・例文・類語 べつ【蔑】[漢字項目] [常用漢字] [音]ベツ(漢) [訓]さげすむ ないがしろばかにする。無視する。「蔑視・蔑称/軽蔑・侮蔑」 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「蔑」の意味・読み・例文・類語 ない‐が‐しろ【蔑】 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「無きが代」の変化した語。人や物があってもないかのようにするさま )① ( 多く「ないがしろにする」の形で ) 無視するさま。軽んじあなどるさま。[初出の実例]「軽(かろ)み蔑(ナイガシロニスル)こと」(出典:石山寺本蘇悉地羯羅経略疏天暦五年点(951)五)「福家の人のないがしろなるけしきを聞くにも」(出典:方丈記(1212))② 人目を気にしないでうちとけたさま。しどけないさま。無造作なさま。[初出の実例]「ないがしろなるもの。女官どもの髪上げ姿。唐絵の革の帯のうしろ」(出典:枕草子(10C終)二五七) さげしみ【蔑】 〘 名詞 〙 ( 「さげしみ(下墨)」から転じた語 ) =さげすみ(蔑)[初出の実例]「女郎には能筆があれ共、芸子にはなきとのさげしみ」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「蔑」の読み・字形・画数・意味 蔑常用漢字 14画(旧字)15画(異体字)20画 [字音] ベツ[字訓] あらわす・ないがしろにする・さげすむ・ない[説文解字] [甲骨文] [金文] [字形] 会意(べつ)+伐。は眼に呪飾を加えている形で、媚女。戦争などのとき、この眉飾を加えた巫女たちが、敵陣に対して一斉に調伏の呪儀を行った。卜辞には媚人三千をして敵方を望んで呪祝させたとしるすものがある。戦いが終わると、敵方の媚女を捕らえ、その呪力を消滅させるために、これを殺した。そのことを蔑といい「蔑(な)し」とよむ。両禾(りようか)軍門の前で殺すことがあり、それで(べつ)ともしるされている。そのことはまた著しい軍功でもあるので、軍功を旌表(表彰)することを「蔑暦(べつれき)」という。は両禾軍門の前で誓告することで、軍功をいう。〔説文〕四上に蔑について「勞目、無きなり。(べつ)に從ふ。人勞するときは則ち蔑然たり。戍(じゆ)に從ふ」とするが、卜文・金文の字形は下部を伐に作り、伐はのちにも「伐閲(べつえつ)」のように蔑の音でよみ、軍功を旌表することをいう。門閥の閥を、〔玉〕にベツの音でよんでいる。[訓義]1. あらわす、ほめる。軍功をいう。2. なくする、かろくする、ないがしろにする、さげすむ。3. くらい、あざむく。4. 滅と通じ、ほろぼす。5. 末と通じ、ほのか、かすか、こまかい。[古辞書の訓]〔和名抄〕 師、多々良女(たたらめ)(箋注)は乃ち米久曾(めくそ)、多々良女(たたらめ)の兩義り 〔名義抄〕 アツマル・ナイガシロ・ナイガシロニス・ナミス 〔字鏡集〕蔑 ナミス・アナヅル・ナイガシロ[声系]〔説文〕に蔑声として・・・など八字を収める。(べつ)は汚血、は軽易の義で、蔑の声義を承ける字である。(べつ)は蔑の繁文として卜文・金文にみえ、伐旌の意であるが、〔説文〕七上に「禾なり」とする。それならば別義の字である。[語系]蔑・miatは慢・meanと声近く、侮の意がある。また滅miat、(亡)miuangとも声義が通じ、滅亡の意がある。蔑は亡国の巫女を殺す形の字である。なお、否定詞として・罔のほか、無・无・毋miua、mak、靡miai、末muat、未・勿miutなどは同系の語である。[熟語]蔑棄▶・蔑殺▶・蔑死▶・蔑視▶・蔑爾▶・蔑如▶・蔑賤▶・蔑然▶・蔑侮▶・蔑法▶・蔑▶・蔑縷▶・蔑暦▶[下接語]軽蔑・敖蔑・寂蔑・微蔑・侮蔑・斃蔑・暴蔑・陵蔑 20画(異体字)蔑常用漢字 14画 [字音] ベツ[字訓] あらわす[説文解字] [金文] [字形] 形声声符は蔑(べつ)。〔説文〕七上に「禾(くわ)なり」とあるも、何の禾であるかをいわず、〔段注〕に「蓋し禾にと名づくるるならん」という。用義例のない字である。金文に功暦を旌表(表彰)することを「蔑(べつれき)」といい、字はまた「」に作る。禾は軍門。両禾は軍門の象で、(暦)は両禾の形に従う。禾は今の華表の形とみてよい。蔑字条参照。[訓義]1. あらわす、ほめる。軍功をいう。2. 禾の名。[熟語]暦▶ 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報