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薄茶器 ウスチャキ

デジタル大辞泉の解説

うすちゃ‐き【薄茶器】

薄茶を入れる容器の総称。(なつめ)・中次(なかつぎ)・吹雪(ふぶき)など種類が多い。→茶入れ

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世界大百科事典 第2版の解説

うすちゃき【薄茶器】

濃茶の茶入に対し,薄茶を入れる容器の総称。薄器とも称する。代表的なものを(なつめ)といい,これは濃茶入の挽家(ひきや)(保護のための容器)から生じたとされ,ナツメの実に形が似ている。棗には中次(なかつぎ),雪吹(ふぶき),寸切(ずんぎり)などの形があり,漆器がほとんどであるが,木地,象牙,竹,一閑張,籠地,陶磁器,金属などもある。代々の茶人が様々な好物の形を生んで,茶器の内容を豊かにしている。【戸田 勝久】

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大辞林 第三版の解説

うすちゃき【薄茶器】

薄茶点前のときに抹茶を入れる容器。漆器が普通だが陶磁・竹・木地材などもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

薄茶器
うすちゃき

薄茶を入れる茶器の総称。薄器とも薄茶入れとも別称する。一般に「棗(なつめ)」の称を薄茶器の総称とする場合があるが、「棗」は薄茶器の一種の呼称である。材質は真塗りをはじめとした塗り物、木地、竹材、一閑張(いっかんばり)、陶磁器、象牙(ぞうげ)、籠地(かごじ)、堆朱(ついしゅ)、金属など、濃茶(こいちゃ)の茶入れに比して多様である。基本の形状は、棗、頭切(ずんぎり)、中次(なかつぎ)、雪吹(ふぶき)の4種に大別される。薄茶器の称が文献に表れたのは江戸中期の『槐記(かいき)』を初見とし、それ以前は金輪寺(きんりんじ)、棗、中次など個々の名で登場する。[筒井紘一]

種類

棗は元来、文琳(ぶんりん)や茄子(なす)茶入れの挽家(ひきや)を応用したものといわれ、植物のナツメの実に形姿が似ているところからの名称といわれる。黒塗りを主体とし、蒔絵(まきえ)もの、木地のものもある。村田珠光(じゅこう)の時代の羽田(はねだ)五郎が創始したといわれ、尻張(しりはり)棗、大棗、中棗、小棗、平棗、つぼつぼ棗、碁笥(ごけ)棗の薄器七種をはじめ、紹鴎(じょうおう)棗、盛阿弥(せいあみ)棗、胴張棗、長棗、鷲(わし)棗、一服棗、河太郎棗、町棗などがある。
 頭切は寸切とも書く。頭部を一文字に断ち切った形をいう。代表は金輪寺。後醍醐(ごだいご)天皇が御座所の吉野金峰山寺(きんぷせんじ)(金輪寺)に滞在中、衆僧に茶を賜ったが、そのとき山頂のツタの木株をもってつくったものと伝説される。後年、千利休(せんのりきゅう)が好んでつくった金輪寺は、初代堺春慶(さかいしゅんけい)に命じてつくらせたもので、内面は黒漆、外面は春慶塗、ツタの木目が透けている。「昔型(むかしがた)」の名で呼称される茶桶(ちゃおけ)も頭切の一種である。
 中次は文字どおり円筒形の中央部に合口があって、身、蓋(ふた)が分かれた薄茶器の一種。合口や蓋の形の変化から次のような種類に分けられる。中次、面中次(めんなかつぎ)、雪吹、面取(めんとり)、茶桶、頭切、金輪寺、薬器(やくき)、立鼓(りゅうご)、阿古陀(あこだ)、鮟鱇(あんこう)、瓢(ひょう)中次、甲赤(こうあか)などがある。
 雪吹は中次に属し、肩と裾(すそ)に面がとってある薄茶器の一種。一般には「吹雪」と書くが、茶の世界だけは「雪吹」と書く。吹雪のなかを歩くと、足元も上方もわからないほどであるとの意から、その形姿を見立ててこのように呼称している。そして棗以外の雪吹、面中次、頭切、薬器、白粉解(おしろいとき)、茶桶の6種を薄器六器という。
 また塗師(ぬし)としては、珠光時代(室町時代)の羽田五郎以来、紹鴎時代(戦国時代)の余三(よぞう)、紀三、利休・織部・遠州時代(安土(あづち)桃山時代)の盛阿弥、秀次(ひでつぐ)、藤重(ふじしげ)などが名工としてあげられる。江戸時代に入ると、宗長、宗哲の各代や道恵、道志、一閑などが著名。[筒井紘一]

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世界大百科事典内の薄茶器の言及

【茶器】より

…点茶に必要な諸道具をすべて茶器と称するが,狭義には薄茶(うすちや)器すなわち薄茶を入れる器をさす。なお薄茶器と茶杓を両器と称する。…

【棗】より

…濃茶は儀式的な,薄茶は寛潤な雰囲気を伴っている。そこで濃茶の容器としては中国伝来の陶製の小壺が用いられたのに対し,薄茶器は漆塗の和製の容器がくふうされた。棗は広義には,この和製の薄(茶)器の別称といえる。…

※「薄茶器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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