薩戒記(読み)さっかいき

精選版 日本国語大辞典 「薩戒記」の意味・読み・例文・類語

さっかいき【薩戒記】

室町前期の日記。二七冊。中山定親著。応永二五年(一四一八)から嘉吉三年(一四四三)までの日記(七年分を欠く)と、永享元年(一四二九)までの宣下、消息、その抄出、部類抄、私要抄などとから成る。定親卿記。霜台記。中山霜台禅門記。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「薩戒記」の意味・読み・例文・類語

さっかいき【薩戒記】

室町時代の公卿中山定親の日記。応永25年(1418)から嘉吉3年(1443)までの日記と、永享元年(1429)までの目録・部類記などからなる。室町中期の政治経済史を知る重要史料

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「薩戒記」の意味・わかりやすい解説

薩戒記 (さっかいき)

藤原北家花山院流の公家中山定親の日記。1418年(応永25)から43年(嘉吉3)に至る日次記(7ヵ年欠)と48年(文安5)までの宣下,消息,部類抄などから成る。現存する自筆本は少ないが,多くの写本が伝えられている。異称は《霜台記》《中山霜台禅門記》《定親公記》など。書名はその名サダチカの上下の音サカによる。内容は公武の政治情勢,京都の社会情勢・世俗状態などを示し,この時代の重要史料である。一部は未刊
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「薩戒記」の意味・わかりやすい解説

薩戒記【さっかいき】

室町時代中期の公家である中山定親(さだちか)の日記。書名の〈薩戒〉は,〈さだちか〉の唐風反名(かえしな)(二字の人名の上下の音や訓を利用してつくる変名の一種)で,《霜台記(そうだいき)》《定親公記》などともいう。記事は1418年から1443年にわたるが,欠落が多く,1448年までの消息や宣下(せんげ)なども含まれる。室町期の政治・社会や故実儀式などを知るうえで貴重。正長(しょうちょう)の土一揆の過程で,1429年(正長2年)に播磨国の〈土民〉が守護方の軍勢を攻撃,本書に記された〈侍をして国中に在(あ)らしむべからず〉という土一揆スローガン有名

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「薩戒記」の意味・わかりやすい解説

薩戒記
さつかいき

室町時代前期の貴族中山 (藤原) 定親 (1401~59) の日記。現存する部分は,応永 25 (18) 年から嘉吉3 (43) 年までのうち 19年分である。この記名は,後人が彼の名字の定 (さだ) と親 (ちか) の字をとり,それぞれの反切音 (はんせつおん) である薩 (さつ) と戒 (かい) をあてたもの。定親は武家伝奏をつとめたこともあって,公家関係の記事ばかりか武家社会に関する記事も豊富。日記とともに『部類抄』『私要抄』などの有職故実関係の書物や文書類の写しが伝わっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「薩戒記」の意味・わかりやすい解説

薩戒記
さっかいき

権大納言(ごんだいなごん)中山定親(なかやまさだちか)(1401―59)の日記。「定親卿記(さだちかきょうき)」「定親公記」「薩戒御記」「中山霜台(なかやまそうたい)禅門記」などの別名がある。万里小路時房(までのこうじときふさ)の日記『建内記(けんないき)』と並び室町時代中期の政治、社会、文化の動向をうかがい知ることのできる重要史料である。欠失分があるが、1418年(応永25)から47年(文安4)までの日記が残されている。また宣下(せんげ)・消息の抄記や部類抄、私要抄がある。

[黒田日出男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社日本史事典 三訂版 「薩戒記」の解説

薩戒記
さつかいき

室町中期,公卿中山定親の日記
1418年より'43年に及ぶ。27冊。京都の世情を知るのに便利な史料で,特に正長(1428〜29)の播磨国の土一揆の史料は有名。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android