日本大百科全書(ニッポニカ) 「虻田」の意味・わかりやすい解説
虻田
あぶた
北海道南西部、胆振(いぶり)支庁(現、胆振総合振興局)管内にあった旧町名(虻田町(ちょう))。現在は虻田郡洞爺湖(とうやこ)町の南西部を占める地域。旧虻田町は1938年(昭和13)町制施行。2006年(平成18)虻田郡洞爺村と合併して洞爺湖町となる。旧町名はアイヌ語「アプタペツ」(釣り針をつくる川)より転訛(てんか)した地名。内浦(うちうら)湾と洞爺(とうや)湖の間の山地が大部分を占める。湾岸にはJR室蘭(むろらん)本線が通じ、洞爺湖温泉があるため洞爺駅は特急が停車する。国道は37号と230号が会合する。道央自動車道虻田洞爺湖インターチェンジがある。江戸時代ここに牧場が開かれ、開発の一拠点となった。旧町域内に洞爺湖、洞爺湖温泉、有珠山(うすざん)など支笏(しこつ)洞爺国立公園の一部を含み、観光客は年間400万に達する北海道の代表的観光地。洞爺湖水まつりなど行事も多い。対馬(つしま)海流の影響で気候は温暖、雪も多くない。豆類、ビート(サトウダイコン)、アスパラガスなどの畑作や園芸農業、ホタテガイなどの漁業も行われる。鉄鉱を産した虻田鉱山は1971年閉山した。洞爺湖温泉は湯量豊富な塩化物泉で、湖上遊覧船やバスが発着する同国立公園内の観光拠点。有珠山噴火のたびに被害を受け、1977年の噴火後に有珠山噴火記念公園(1987年開園)ができた。2000年の噴火でも洞爺湖温泉地区などに被害があった。
[柏村一郎]