出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道南西部,胆振(いぶり)支庁管内にあるカルデラ湖。直径約10kmのほぼ円形をなし,面積69.4km2,最大深度179.7m。湖底はほぼ平たんである。カルデラの基盤は新第三紀層で,更新世末に多量の軽石流の噴出を伴う大噴火が繰り返されて陥没した。湖面が広いわりには外輪山は湖面からの比高200~500mと低く,広々とした景観をつくっている。カルデラ壁には畑地も開かれ,北部にはニナルカ台地や一ノ原,二ノ原など火山灰や軽石流堆積物からなる広大な台地もみられる。湖の中央部には中島(最高点は標高455m)をはじめ観音島,弁天島,饅頭島などの輝石角セン石安山岩からなる中央火口丘がある。湖岸には狭い砂浜もあり,北部から流入するポロベツ川には小規模な三角州も形成されている。湖の透明度は23.5mを記録したこともあったが,周囲の温泉街や硫黄鉱山からの廃水が増加し,その値は低下している。壮瞥(そうべつ)町の滝之上の火口瀬から長流(おさる)川支流の壮瞥川が滝をつくって排水していたが,1920年に同所に壮瞥発電所がつくられ,水路から排水するようになり,現在は滝跡の崖をのこすのみである。湖水の一部は下流域の農業用水にも利用されている。湖畔には洞爺湖温泉,壮瞥温泉やキャンプ場,展望台があり,中島には森林博物館が設けられ,観光船も通じている。南岸の有珠(うす)山,昭和新山と合わせて道内有数の観光地を形成している。
湖の南岸にあり,道内最大規模の収容力をもち,ホテル,旅館が建ち並ぶ。泉質は食塩泉,泉温は55~60℃。1917年に発見され,当初は床丹(とこたん)温泉と呼ばれた。28年の室蘭本線の開通をはじめ,洞爺湖電気鉄道(1941廃止),胆振線(1986年バス路線に転換)など交通の整備に伴い温泉街が形成された。第2次大戦後,昭和新山が出現したこともあって,観光地として脚光を浴び,ホテル,旅館や飲食店,みやげ物店が急増し,札幌の奥座敷としての性格をもつ。洞爺湖温泉の東には,53年に東丸山でのボーリングによって開発された壮瞥温泉(ボウ硝泉,67~91℃)があり,洞爺湖温泉とは対照的に閑静な温泉地となっている。
執筆者:奥平 忠志
北海道南西部,胆振(いぶり)支庁虻田(あぶた)郡の町。2006年3月虻田町と洞爺村が合体して成立した。人口1万0132(2010)。
洞爺湖町南部の旧町。胆振支庁虻田郡所属。人口9189(2005)。内浦湾に面し洞爺湖に臨む。JR室蘭本線が通じ,役場所在地の虻田市街に洞爺駅がある。道央自動車道の虻田洞爺湖インターチェンジがある。町域には内浦湾と洞爺湖に挟まれる丘陵地と有珠(うす)火山とが含まれる。1917年に発見された洞爺湖南岸の洞爺湖温泉(食塩泉,55~60℃)は北海道屈指の保養地を作り,有珠山,昭和新山など支笏洞爺国立公園観光ルートの起点をなす。1791年(寛政3)には付近一帯の漁場の中心地として運上屋が置かれ,1805年(文化2)には箱館奉行が虻田有珠に牧場を開き,これは北海道の馬産地の先駆となり,明治に至るまで経営された。92年発見の虻田鉄鉱床は室蘭の製鉄所に鉱石を供給したが,1971年閉山した。漁業は不振だが,気候は温和で,促成野菜の生産などが発展している。
執筆者:岡本 次郎
洞爺湖町北部の旧村。胆振支庁虻田郡所属。人口2154(2005)。洞爺湖の北岸に位置し,洞爺湖カルデラ壁と羊蹄(ようてい)山麓に連なる台地からなり,北縁を貫気別(ぬつきべつ)川が西流する。地名はアイヌ語の〈トー・ヤ(沼の・岸)〉に由来する。1887年香川県から22戸が団体入植したのに始まる。耕地の大半は畑地で,テンサイ,豆類,ジャガイモのほか,アスパラガスなどを産する。観湖台,大観望からの洞爺湖の眺めがよい。湖岸にはキャンプ場がある。札幌から中山峠をへて洞爺湖に至る国道230号線が通じる。
執筆者:奥平 忠志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
北海道南西部、胆振(いぶり)総合振興局管内の虻田(あぶた)郡にある町。2006年(平成18)、虻田郡虻田町、洞爺村(とうやむら)が合併して成立。南西は内浦(うちうら)湾に臨み、北部は羊蹄(ようてい)山麓に連なる台地。この間に支笏(しこつ)洞爺国立公園に指定される洞爺湖があり、湖の北部から南西部が町域に含まれる。海岸沿いをJR室蘭(むろらん)本線、国道37号、やや山寄りを道央自動車道が通じ、虻田洞爺湖インターチェンジがある。国道230号は、洞爺湖南岸の温泉街から西岸の台地を北上して札幌に向かう。道内では最も気候が温暖な地域の一つ。農業では洞爺湖地区を中心にイモ、マメ類、アスパラガス、赤葉大シソなどを栽培、内浦湾ではホタテの養殖が行われる。畜産や水産加工も盛んだが、町の基幹産業は洞爺湖、洞爺湖温泉を中核とする観光関連産業で、洞爺湖温泉には年間300万人の観光客が訪れる。洞爺湖の南にそびえる有珠山(うすざん)(山頂は壮瞥(そうべつ)町にある)は、近代以降では1910年(明治43)、1977年(昭和52)、2000年(平成12)に大噴火。1977年の噴火では翌1978年の泥流災害により温泉街で3人が死亡。2000年の噴火では、温泉街背後の金毘羅山(こんぴらさん)で新たな噴火が起こり、全世帯の避難が解除されたのは翌2001年6月となった。2008年7月には第34回主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)が開催された。洞爺湖北岸の洞爺温泉は「洞爺・陽だまり温泉」として国民保養温泉地に指定。面積180.87平方キロメートル、人口8442(2020)。
[編集部]
北海道南西部、内浦(うちうら)湾の近くにあるカルデラ湖。支笏(しこつ)洞爺国立公園の一中心。面積70.7平方キロメートル、周囲52キロメートル、水面標高84メートル、最深部179.7メートル。新生代第四紀初期から数次の火山活動で多量の溶結凝灰岩を噴出して陥没しカルデラ湖ができ、その後中央火口丘中島の噴出により現在のドーナツ型となった。火山活動は現在も継続し、外輪山を構成する有珠(うす)火山の大有珠・小有珠、昭和新山、明治新山(四十三(よそみ)山)などは近年の活動によって生じたものである。1977年(昭和52)8月7日の有珠山の活動は、火山地震、噴出した軽石や火山灰、雨による泥流によって周辺に多大の損害を与えた。噴出物は洞爺湖にも多量に降下し、透明度の高かった湖水も表面が真っ白に覆われた。
湖畔には洞爺湖温泉、壮瞥温泉(そうべつおんせん)の両温泉があり、また中島には森林博物館があって、エゾシカが放牧されている。湖を一周する観光道路も整備されて年間約100万の観光客がある。湖の周辺は、道内でも有数の気候温和な所で、米作、果樹・野菜栽培、酪農の行われる農村地域が展開する。湖水は東部の火口壁を破って火口瀬(らい)となり、長流川(おさるがわ)に注ぎ、壮瞥、虻田(あぶた)の両発電所で利用されている。
[奈良部理]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…人口1万0536(1995)。内浦湾に面し洞爺湖に臨む。室蘭本線が通じ,役場所在地の虻田市街に洞爺駅がある。…
…北海道南西部,洞爺湖の南に位置する活火山。有珠岳ともいう。…
…湖水の一部は下流域の農業用水にも利用されている。湖畔には洞爺湖温泉,壮瞥温泉やキャンプ場,展望台があり,中島には森林博物館が設けられ,観光船も通じている。南岸の有珠(うす)山,昭和新山と合わせて道内有数の観光地を形成している。…
※「洞爺湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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