蛍光分析(読み)けいこうぶんせき(英語表記)fluorometric analysis

日本大百科全書(ニッポニカ)「蛍光分析」の解説

蛍光分析
けいこうぶんせき
fluorometric analysis

試料に励起を照射し、その結果放射される蛍光測定して定性定量を行う分析方法の総称。励起光としては紫外線、X線、α(アルファ)線、電子線などが使われるが、X線照射による蛍光を蛍光X線とよび、これを利用する分析法を蛍光X線分析法、また気体状態の原子が共鳴線を吸収して励起し、ふたたび基底状態に戻るときに発する光を原子蛍光とよび、これを利用する分析法を原子蛍光分析法という。それぞれ特長ある分析法であるが、単に蛍光分析という場合には液体または固体試料を紫外線で励起する場合をいう。蛍光の測定は肉眼で行うこともあるが、一般には蛍光測定装置を用いる。装置は、光源部、励起光選択部、試料室、蛍光選択部、光電測光部、指示部からなり、光学計の構成によって蛍光光度計、蛍光分光光度計、分光蛍光光度計などに分けられてよばれている。紫外線光源としてはキセノンランプ水銀ランプが広く用いられ、この光を、試料を入れた四面が透明な角形または丸形容器の一方から照射し、発生した蛍光はこれと直角方向で測定するのが普通である。測定される蛍光エネルギーは種々の因子に関係するが、一定の測定条件下では試料濃度に比例し、各種の有機化合物や金属元素の検出や定量に使われる。蛍光を発する化合物には直接本法を適用できるが、蛍光性でない化合物の場合には適当な試薬と反応させて蛍光性化合物に変えて測定する。また共存する他物質などによって蛍光強度が低下する現象を消光といい、これを利用して消光物質の定量を行う方法があり、これを消蛍光定量法あるいは蛍光消失定量法とよんでいる。

[高田健夫]


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化学辞典 第2版「蛍光分析」の解説

蛍光分析
ケイコウブンセキ
fluorescence analysis

物質の発する蛍光を利用する化学分析の総称.励起光は,主として紫外線が用いられるが,そのほかに可視光線,電子線,X線,α線なども利用される.一般に発する蛍光強度は蛍光分光光度計を用いて測定する.蛍光分析では,物質を蛍光性物質としたのち,その蛍光を測定する方法と,逆に蛍光性物質に被測定物質を加え,その消光度より被測定物質の量を測定する方法とがある.医薬品の分析,ベリリウムイットリウムインジウムの定量にはモリンオキシンなどの錯体の蛍光が利用される.ウランを含むNaF融成物は紫外線により蛍光を発し(555.4 nm),これを使用して 10-9 g 程度までの定量が可能である.また,X線による蛍光分析は,物質中の微量成分の分析に広く利用されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

精選版 日本国語大辞典「蛍光分析」の解説

けいこう‐ぶんせき ケイクヮウ‥【蛍光分析】

〘名〙 特定波長の光(主として紫外光)を試料に照射し、測定対象となる分子特有の蛍光の強度を測定、定量する分析法。

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栄養・生化学辞典「蛍光分析」の解説

蛍光分析

 物質の発する蛍光を利用して物質を定量もしくは定性分析する方法.

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世界大百科事典 第2版「蛍光分析」の解説

けいこうぶんせき【蛍光分析 fluorescence analysis】

対象とする原子,分子あるいはイオンを光で励起して,その発光スペクトルを検出する方法。溶液および高温気体中の原子を対象とするのが一般的である。測定は光源光を適当に分光して一定波長の光を励起光とし,試料から放出される蛍光を分光光度計で測定する。光源はキセノンランプ,水銀ランプなど可視部から紫外部にかけて高い輝度をもつものが使用されるが,ときにはレーザーのような単色性のよい高輝度光源が用いられることもある。

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