吸光光度法(読み)キュウコウコウドホウ(その他表記)absorptiometric method

デジタル大辞泉 「吸光光度法」の意味・読み・例文・類語

きゅうこうこうど‐ほう〔キフクワウクワウドハフ〕【吸光光度法】

物質に対する光の吸収現象を利用した分析法。試料に光をあてて吸光度測定し、主に溶液状態にある試料の同定定量を行う。吸光光度分析

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「吸光光度法」の意味・わかりやすい解説

吸光光度法
きゅうこうこうどほう
absorptiometric method

物質に対する光の吸収現象を利用した分析法をいうが、一般には溶液状態にある分子やイオンなどの光吸収物質によって吸収される単色光の量からその成分の濃度を求めたり、物性の測定を行う方法をいう。このとき吸収される量は、普通ランベルトベール法則とよばれる法則によって記述される。歴史的事情から吸光光度分析法、紫外可視分光光度法または同光度分析法、分光光度定量法、比色分析法、光吸収分析法などの名前でよばれることも多い。吸光光度法の取り扱う波長範囲は紫外部(約200~380ナノメートル。1ナノメートルは10億分の1メートル)、可視部(約380~780ナノメートル)、および赤外領域であるが、赤外領域は赤外線分光光度法として別に取り扱われることが多い。光の吸収量を測るためには測光器が必要であり、肉眼による簡単な比色管や比色計から、高精度な光電測光式のものまである。光電測光式のうち、波長選別器として回折格子プリズムを有する装置を分光光度計フィルターを用いる装置を光電光度計という。種々の異なった形式のものが市販されている。

[高田健夫]

『高田芳矩著『吸光光度法の実際』(1979・講談社)』『桑克彦著『吸光光度法 自動分析編』(1985・共立出版)』『奥修著『吸光光度法ノウハウ――ケイ酸・リン酸・硝酸塩の定量分析』(2002・技報堂出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「吸光光度法」の意味・わかりやすい解説

吸光光度法 (きゅうこうこうどほう)
absorptimetry

透明ないし半透明気体液体固体が光を吸収するとき,その吸収の強度と波長から物質の定量・同定を行う方法。測定には分光光度計が用いられるが,これは光源,分光器,および光検出装置から成り,試料は光源から光検出器までのどこかに挿入される。光源は安定性のよい白熱ランプや気体放電管が用いられ,分光器にはスペクトル分離のためのプリズム,フィルター,回折格子が併用されている。また光電池や光電子増倍管が光検出器に利用される。測定に際しては対象となる波長により,300~350nm以短を測定する紫外,350~800nmの可視,それ以長の赤外部に分かれ,それぞれ目的に応じた装置を選択しなければならない。一般的には赤外部は物質の同定に,可視・紫外部は物質の定量に利用されることが多い。可視部の吸光光度法は比色法または比色分析colorimetric analysisとも呼ばれるが,これは歴史的に肉眼で吸収強度を比較していたことに由来する。

 物質の定量に際しては,測定される物質に固有の波長を設定し,この波長における吸光度Aを求める。ここで

 AlogI0/I)=abc

ランバート=ベールの法則と呼び,I0は測定対象となる物質を含まない媒質中を光が通過する場合の透過光強度,Iは測定物質を含む試料の透過光強度,aは測定物質に特有の吸光係数bは試料を通過する光の経路長,cは物質の濃度である。既知の濃度の測定物質についてabをあらかじめ決定したうえで試料の濃度を測定するのが普通である。測定物質に適当な吸収がない場合には化学変化により発色する場合もある。また特殊な例として原子スペクトルの吸収から元素を測定する原子吸光法も吸光光度法の一つである。
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