(読み)チョウ

デジタル大辞泉 「蝶」の意味・読み・例文・類語

ちょう〔テフ〕【×蝶】

鱗翅りんし目のうち、アゲハチョウ上科・セセリチョウ上科に属する昆虫の総称。色彩に富む二対のはねをもち、らせん状の口吻こうふんを伸ばして花蜜や樹液を吸う。触角棍棒こんぼう状またはかぎ状。日中に活動し、止まるときは翅を立てる。まゆはふつう作らない。日本には約260種が知られる。胡蝶。ちょうちょう。ちょうちょ。 春》「―の飛ぶばかり野中の日影かな/芭蕉
紋所の名。1図案化したもの。

ちょう【蝶】[漢字項目]

人名用漢字] [音]チョウ(テフ)(漢)
昆虫の名。チョウ。「蝶蝶・蝶類/胡蝶こちょう
[難読]蝶番ちょうつがい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「蝶」の意味・読み・例文・類語

ちょうテフ【蝶】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. チョウ(鱗翅)目に属するガ類以外の昆虫の総称。体は一般に細長く、胸部にある二対の葉状のはねは美しい色彩の種が多く鱗粉(りんぷん)でおおわれる。頭部には、糸状で先端がふくれた一対の触角、および一対の複眼と単眼を具えるほか、ぜんまい状に巻いた口器があり花の蜜や樹液を吸うのに適する。昼間活動し、ふつう、はねを背上に立てて止まる。幼虫はイモムシアオムシ・ケムシと呼ばれ、脱皮して蛹(さなぎ)に変態し成虫となる。ガと異なり、繭をつくることはほとんどない。種類は多く、日本には国蝶のオオムラサキのほか、モンシロチョウ・キチョウ・ナミアゲハ・カラスアゲハなど、九科約二五〇種が知られる。普通、はねの色で区別できる。ちょう類。ちょうちょう。こちょう。《 季語・春 》
      1. [初出の実例]「柳絮未飛蝶先舞」(出典:懐風藻(751)望雪〈紀古麻呂〉)
      2. [その他の文献]〔姚合‐寄安陸友人詩〕
    2. 婚礼などで使用する銚子(ちょうし)につける紙製の雄蝶と雌蝶。蝶形。
      1. [初出の実例]「婚礼の花に立舞ふ酌の蝶」(出典:雑俳・浜の真砂(1730))
    3. 綿(わた)の花の異称。
      1. [初出の実例]「自から稲に実のりの房振よく、木棉(きわた)に蝶(テフ)の数見えて」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)五)
    4. 河豚(ふぐ)猛毒をもった卵巣俗称。形がに似ているところからこの名がある。ふぐのちょう。
      1. [初出の実例]「鰒数寄や葱にたはれの夢の蝶〈松口〉」(出典:俳諧・功用群鑑(1681頃)地)
    5. 美しい女性のたとえ。美女。
      1. [初出の実例]「汝の栄花には、みめよきてうに近付きてたはぶれたるにしかじ」(出典:御伽草子・貴船の本地(校註日本文学大系所収)(室町末))
    6. 紋所の名。を図案化したもの。向い蝶、揚羽の蝶、源氏蝶、結び蝶などの種類がある。
      1. 向い蝶@源氏蝶@揚羽の蝶@結び蝶
        向い蝶@源氏蝶@揚羽の蝶@結び蝶
  2. [ 2 ] ( 「胡蝶楽(こちょうらく)」の略 ) 雅楽の高麗壱越(こまいちこつ)調の童舞。〔和訓栞(1777‐1862)〕

かわ‐ひらこかは‥【蝶】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かわびらこ」とも ) 「ちょう(蝶)」の古名。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「蝶 徒頬反 蝶字加波比良古」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
    2. 「髪を上げて簪には色々の瑠璃を以て(かはひらこ)を造り」(出典:今昔物語集(1120頃か)一〇)

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普及版 字通 「蝶」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 15画

(異体字)
14画

[字音] チョウ(テフ)
[字訓] ちょう

[説文解字]

[字形] 形声
声府は(よう)。に喋・牒(ちょう)の声がある。(葉)の初文。に薄くてひらひらするものの意がある。〔説文〕十三上を正字とし、「(けふてふ)なり」という。

[訓義]
1. ちょう。
2. 字はまた(ちよう)に作る。

[古辞書の訓]
名義抄・蝶 蛾のなり、ア(カ)ハヒラコ 〔字鏡集〕蝶 カタマリフセリ・カゲロフ・テフ

[語系]
蝶thyap、牒・dyapは声近く、にうすくひらひらするものの意がある。(ちよう)は足繁く躡(ふ)むことをいう。

[熟語]
蝶羽蝶影蝶使蝶黛蝶魄蝶舞蝶粉・蝶夢・蝶
[下接語]
花蝶・寒蝶・狂蝶・戯蝶・蝶・胡蝶・黄蝶・秋蝶・春蝶・双蝶・逐蝶・冬蝶・飛蝶・舞蝶・粉蝶・夢蝶・迷蝶・冶蝶・幽蝶・遊蝶・乱蝶

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蝶」の解説

蝶 (チョウ)

動物。鱗翅類に属する昆虫の一部の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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