WRと略す。梅毒血清反応の一つ。梅毒病原体のトレポネマ・パリズムTreponema pallidumを多く含むと考えられた先天梅毒胎児肝臓の食塩水抽出液,後にはウシ心臓のアルコール抽出液にコレステロールを加えたものを抗原とし,補体結合反応の原理で梅毒患者血清中の抗体を検出する血清学的検査法。1906年ドイツのA.P.vonワッサーマンによって考案され,まずサル,次いでヒトの梅毒の診断に有効であることが報告された。この方法はワッセルマン反応と呼ばれて有名になり,梅毒の血清学的診断法の代名詞ともなった。ただし,同様の試みはこれ以前にフランスのJ.ボルデらも行っており(1901),補体結合反応の原理をも見いだしていたので,フランスではこの反応をボルデ=ワッセルマン反応と呼ぶことが多い。またブダペストのデートルL.Detreも独立に同じ方法による結果を,ワッサーマンのサルについての報告の約10日後,ヒトについての報告の前に公表している。
その後,この方法で検出される患者血中の抗体はレアギンreaginで,病原体そのものではないと考えられるようになり,40年代以降になって,ウシの心臓から抽出されるカルジオライピンにレシチン,コレステロールを加えた脂質抗原が用いられるようになった。それとともに多くのすぐれた方法が開発され,ワッセルマン反応で梅毒の血清学的検査法全般を指すことは少なくなってきている。
→梅毒血清反応
執筆者:木村 一郎
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梅毒の血清学的検査法の一つで、梅毒補体結合反応ともいう。1906年ドイツの細菌学者ワッセルマンは、先天梅毒児の肝臓中に梅毒の病原体であるトレポネーマTreponema pallidum(TP)が存在していることから、この肝臓の抽出液を抗原として補体結合反応を行い、梅毒患者血清で陽性となることを発見した。この反応をワッセルマン反応という。その後、TPとは無関係の動物の肝臓や心臓などのアルコール抽出液を抗原として用いてもワッセルマン反応が陽性となることがわかり、さらに改良が重ねられて、現在では、ウシの心臓から分離したリン脂質カルジオリピンcardiolipin(CL)にレシチンとコレステロールを加えたCL‐レシチン‐コレステロールが抗原として用いられている。この抗原と患者血清との補体結合反応で、溶血がおこれば陰性、おこらなければ陽性とみなされる。
[柳下徳雄]
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…しかしTPHA法やFTA‐ABS法では陰性となるので,梅毒感染のさいに陽性となる血清反応と区別できる。なお,ワッセルマン反応の語が梅毒血清反応の代名詞のように用いられているが,この方法は現在は用いられていない。
[梅毒の治療]
ペニシリンが最も有効である。…
…ドイツの細菌学者,梅毒の血清反応として有名なワッセルマン反応の発見者。コッホ研究所に入り実験治療と生化学の部長となり,のちカイザー・ウィルヘルム協会実験医療研究所所長となった。…
※「ワッセルマン反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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