裁判官弾劾法(読み)サイバンカンダンガイホウ

デジタル大辞泉 「裁判官弾劾法」の意味・読み・例文・類語

さいばんかんだんがい‐ほう〔サイバンクワンダンガイハフ〕【裁判官弾劾法】

裁判官弾劾について、罷免理由訴追および裁判の手続きなどを定めている法律。昭和22年(1947)施行

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「裁判官弾劾法」の意味・読み・例文・類語

さいばんかんだんがい‐ほう‥クヮンダンガイハフ【裁判官弾劾法】

  1. 〘 名詞 〙 裁判官の弾劾について、罷免の事由、訴追および裁判の手続きを定めた法律。昭和二二年(一九四七制定

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「裁判官弾劾法」の意味・わかりやすい解説

裁判官弾劾法 (さいばんかんだんがいほう)

日本国憲法は,裁判官が罷免される場合を,心身故障のために執務不能と決定する裁判による以外に〈公の弾劾〉による場合に限っており(78条),その公の弾劾を行うために両議院議員構成される弾劾裁判所国会に設けること,弾劾に関する詳細を法律で定めることを命じている(64条)。それをうけて,国会法が弾劾裁判所について,さらにこの裁判官弾劾法(1947公布)および裁判官弾劾裁判所規則(1949公布)が他の事項について定めている。

 その主要な内容は次のとおりである。まず,国会法は,裁判官を罷免するための訴追を,衆参両議院の議員の中から選挙された同数の訴追委員で組織する訴追委員会が行うと定めており(126条),それに基づき,裁判官弾劾法は,委員の数を10名ずつ20名としている(5条)。弾劾による罷免の事由として,(1)職務上の義務に著しく違反し,または職務をはなはだしく怠ったとき,(2)その他職務であると否とを問わず,裁判官としての威信を著しく失うような非行があったときとされる(2条)。ある裁判官についてこれらの事由に該当すると思われるときは,だれでも罷免の訴追をするよう訴追委員会に求めることができ(15条),訴追委員会は,その請求があったとき,または委員会独自の判断で,その事由について調査を行う(11条)。次に,委員会は,その調査に基づいて,裁判官の罷免の訴追または訴追の猶予を決定する(出席訴追委員の3分の2以上の賛成を要する。10,13条)。訴追されると,弾劾裁判所における裁判が開始される。その裁判所は,衆参両議院から選挙された7名ずつの議員による裁判員とそれら裁判員が互選した裁判長で構成される。裁判は公開の法廷で行われ(26条),上記の事由に該当するとの結論に達する(審理に関与した裁判員の3分の2以上の多数意見による)と罷免の宣告がなされ,それにより当該裁判官はその資格を失う(37条)。ただし,罷免の裁判を受けた者は,一定要件のもとに,資格回復の裁判を請求することができる(38条)。なお,弾劾裁判所は,国会の本来の機関でないから,国会の会期外でもその活動をする。
弾劾
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「裁判官弾劾法」の意味・わかりやすい解説

裁判官弾劾法【さいばんかんだんがいほう】

裁判官の弾劾について定めた法律(1947年)。弾劾の事由,裁判官訴追委員会の構成・訴追,弾劾裁判所の構成・裁判手続などを規定する。現行憲法が裁判官の弾劾制度を採り入れ,司法権の独立のため裁判官の身分を保障しつつも,公の弾劾により罷免し得る(憲法64,78条)としたことに基づいて制定された。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「裁判官弾劾法」の意味・わかりやすい解説

裁判官弾劾法
さいばんかんだんがいほう

昭和 22年法律 137号。裁判官の弾劾について規定した法律。裁判官は執務不能の裁判による場合ほか,公の弾劾によらなければ罷免されないものとされ,この弾劾の審判を行うのが,衆参両議院議員で構成される裁判官弾劾裁判所である (憲法 64条1項,78) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android