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西ナイル熱 にしナイルねつWest Nile fever

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

西ナイル熱
にしナイルねつ
West Nile fever

日本脳炎ウイルスに近縁のフラビウイルス科の西ナイルウイルス West Nile virusが起こす熱病。カが媒介し,感染しても8割程度の人は症状がないが,2割程度が発熱頭痛筋肉痛,時に発疹,リンパ節のはれを主とするインフルエンザに似た症状を示し1週間程度で快復する。しかし,感染者の1%程度は,高熱,激しい頭痛,意識障害,けいれん,筋力低下,麻痺など脳炎 (西ナイル脳炎 West Nile encephalitis) の症状を示し,重症者では数週間続き,後遺症が残ることもある。高齢者は重症になりやすいといわれている。重症患者の3~15%が死亡するという。治療は対症療法しかない。西ナイルウイルスはトリを中間宿主とし,それをイエカが吸血して感染するサイクルをつくっている。潜伏期間は2~14日。ヒトの他,ウマにも脳炎を起こすことがある。ヒトからヒトへの直接感染はない。予防としてはカに刺されないようにすることしかない。これまでアフリカ,ヨーロッパ,西アジアなどで患者発生・流行の報告があったが,1999年以後,アメリカのニューヨークを中心に流行して,注目を集めた。

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知恵蔵の解説

西ナイル熱

西(ウエスト)ナイルウイルスによって発症する、脳炎を主とする感染症。潜伏期間は3〜15日。元来の感染症で、感染した鳥にが感染することで感染蚊になり、この蚊がヒトに吸血して感染する。アフリカ、地中海沿岸、インド西部などで流行した。1999年、突然ニューヨークでこのウイルスによる感染症が発生し、数年間流行した。症状は、発熱、消化器症状、異常な精神状態、頭痛、筋力低下、項部硬直、発疹。また、筋力低下を伴う脳炎、無菌性髄膜炎を伴うことがある。しかし多くは感染しても発症しない、不顕性感染である。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

西ナイル熱

北米中心にアフリカ、中東欧州など広い地域にみられる感染症。ウイルスは鳥類体内増殖、鳥を刺した蚊が媒介し人に感染するとされる。人では80%が無症状で終わるが、発症すると発熱や頭痛、筋肉痛、吐き気などの症状が出る。感染者150人に1人の割合重症化、脳炎などを起こし死亡することも。日本では05年、米国で感染したとみられる男性が帰国後に発症したのが唯一の発症例。治療薬やワクチンは、まだ実用化されていない。

(2007-05-30 朝日新聞 夕刊 2総合)

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デジタル大辞泉の解説

にしナイル‐ねつ【西ナイル熱】

West Nile fever》西ナイルウイルスの感染によって起こる感染症。ウイルスをもつ鳥などを吸血したイエカヤブカの媒介により感染する。最初に発見されたアフリカ以外に、中近東・ヨーロッパに広がり、日本国内でも平成17年(2005)に初の感染者が確認された。感染しても症状の現れないことが多いが、発病すると突然の高熱を発症し、高齢者などごく一部が重症化して脳炎を併発し、死に至ることもある。ウエストナイル熱

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百科事典マイペディアの解説

西ナイル熱【にしナイルねつ】

蚊を媒介とするウイルス感染症。元来は鳥の感染症で,感染した鳥に蚊が感染し,この蚊が人間に吸血して感染する。急激な発熱,頭痛,発疹,消化器症状,筋力低下などが主な症状。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

西ナイル熱
にしないるねつ
West Nile fever

日本脳炎ウイルスなどと同じフラビウイルス科の西ナイルウイルスが原因で起こる感染症。ウエストナイル熱ともいう。流行はアフリカ、中近東、ヨーロッパなどに限られていたが、1999年にアメリカ・ニューヨーク市で流行、2002年には全米に広がり、4000人以上が感染、284人が死亡して国際的な感染症になった。当時、日本国内での発生はなかったが厚生労働省は2002年11月、感染症予防・医療法で届け出るべき4類感染症に指定した。2005年10月には国内初の感染者が確認されている。感染者の2割に39℃を超す突然の高熱があり、頭痛、筋肉痛が出現、半数は胸や背中などに発疹(はっしん)がでる。対症療法しかないが、通常は1週間で回復する。高齢者など一部(感染者の1%)は重症化し西ナイル脳炎を併発、意識障害を起こし、死亡する。ウイルスをもったイエカ、ヤブカに刺されて感染するが、輸血や臓器移植を除けば人から人へは感染しない。ウイルスは鳥や家畜の体内でも増殖し、カとの間でやり取りするため、アメリカではニワトリやウマの抗体検査を行ってウイルスをもったカがいるかどうかをチェックしている。[田辺 功]

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