朝日日本歴史人物事典 「西川鯉三郎(初代)」の解説
西川鯉三郎(初代)
生年:文政7.11.30(1825.1.18)
幕末明治期に芸所名古屋で舞踊を発展させた名古屋西川流流祖。前名西川仁蔵。和光と号した。元阿波(徳島県)の藍玉商岸田久兵衛の子。幼くして4代目西川扇蔵の門弟となり,一時歌舞伎俳優を兼ねるが,のち舞踊に専念。18歳のとき父と共に名古屋へ移り,京舞篠塚流の篠塚力寿と結婚。地盤を広げる傍ら,京舞と能楽を摂取した独自の芸風を案出した。秘伝書と共に名取に授与した舞踊譜『妓楽踏舞譜』は実践的に整理された内容で,名古屋の劇場を独占した振付師としての技量がよく分かる。初代没後長い家元空白時代を経て,歌舞伎俳優尾上志げるが昭和15(1940)年,2代目を襲名。2代目没後,鯉三郎の名跡は途絶えている。
(丸茂祐佳)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報